第6話 【フルダイブVR】回想① 号哭

 

 ~半年前~





 ・・・・・・




 ・・・




 ああ、起きなくてはいけない……


 眠りから覚醒する。毎日体験している事だ。


 どうも今日はいつもと違い、言い表せない不快感がある。簡単に例えると、酒に酔って視界の歪んだような、それに近い感覚だ。


 二日酔いだろうか……昨日は仕事終わりに飲みすぎてしまったのだろうか。


 だけど今日も店を開けないと……。


『――酸素、二酸化炭素正常化作業が完了します。あと30秒で適正値です』




 眠りからの覚醒に近づき、徐々に自分の周りの音が聞こえてくる。なんだ?酔ったまま外で寝ちまったか?


 そして話しかけてくる女の声…



『急に眼を開けず、しばらく閉眼した状態で意識してください』


 ゆっくりと瞼を開けようとするが、瞼は張り付き、体が自由に動けない…。


 ようやく目を開け、自分の身体を確認する……全身を拘束されている。


 それを見た瞬間、表現できないような視界の歪んだ。グルグルと、ものすごく気持ち悪くてじっとしていられない。吐き気が止まらず拘束されていることも忘れるくらいに体を動かした。


「―――――!! ―――――――!!」


 声が出ない。喉から声が出ない。頭では叫んでいるつもりだのだが、まったく誰にも通じず目の前の視界がブラックアウトした。


 ・・・・・・


 ・・・


 ・


『私の声聞こえるでしょ?意識しないと呼吸忘れちゃうから、ゆっくり呼吸して。今から脳波にリンクして今まで何があったか貴方の記憶を起こすから』



『……このまま睡眠深度5%から徐々に深くして。ION再起動――』



 俺が横になっている機械でできた棺桶。頭部あたりの蓋がゆっくりと閉じられる。


 さっきから意味の分からないことを言っていた女の声は遠のき、再び視界が暗転する。


 そう、忘れちゃいけない声。思い出すと涙が出そうになるほど大切な――



「「「「「「

 ――地鳴り、男の叫び声、喉が焼けるような熱風に何かが焦げた匂いと血の匂い、緊張で固まりながらも倦怠感を感じる身体。




 縺壹▲縺ィ荳?邱偵↓謌ヲ縺」縺溷、ァ蛻?↑莠コ縺ィ 戦場にいた。


 鎧を纏い、振り上げれるのか分からない位縺ョ驥阪>荳。謇句殴繧持って震えている。


 多分、菴募コヲ繧よュサ繧薙□。何人も谿コ縺励◆縲


 俺はなんで忘れていたのだろう。


 迪帷坤縺悟、ァ驥上↓縺?k縲これは戦場なのか。


 全身噛み傷だらけで、えぐれた腕、腹が陬ゅ¢縺ヲ縺励∪縺」縺ヲ繝?Ο繝ェ縺ィ蜃コ縺ヲ縺上k閻クを手ですくって身体に戻す。だが武器と呼べるものは拳一つだ。


 俺は多分もう豁サぬ。


 そうだ。こんなつらい思いをしたのになぜ忘れていたんだ。



 ここはどこだ。繧ク繝」繝ウ繧ー繝ォ縺ォ螻?◆縲ゆソコ縺ッ驫?r謖√▲縺ヲ縺?k。俺は戦場にいた。


 森の中、眼前に真っ黒な蝪翫′隕九∴繧。おぞましいほどの数の蝿を着込んだ謌ヲ蜿九?豁サ菴薙□。死にたくない。こうなりたくはない。


 つらい。つらい。つらい。もうこんな思いはしたくない。



 …………■■■■■■■■■■■■戦場にいた。


 応援は来ない。補給もない。1人だ。殺さないと殺される。大丈夫。俺はやれる。


 いやだ。思い出したくない……。



 自宅が燃えている。誰だ俺の螳カ繧襲撃したのは。


 俺の●●●が◆された。悲しい。諤偵▲縺ヲ縺?k縲。全員◆す。皆◆しだ。


 忘れていたのだからいいだろう!?なぜこんなこと思い出させるんだ!






 死体の山の前にナイフ一本で俺は立っている。これは仕事だ。だけどなんで俺は笑っているんだ?


 ……やめろ。


 …やめろ。



 笑っている。


 辺り一面燃えている。人が燃えている。俺は笑っている。頭痛がひどい、頭が割れそうだ。


 ・・・・・・



 ――――――――――――――――これは茶番だ。


 菫コ縺ョ螂ウ縺梧ョコ縺輔l縺溘。悲しい。怒っている。勇者パーティーに殺された。

 村を救ってくれたはずの勇者を自前の農機具を使い不意打ちで殺した。




 ・・・・・・




 ・・・




 《ああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!》





 思い出した!殺してやる!!!!

 死にたい。終わらせたい。終わってくれ。

 思い出した!!!よくも俺を壊したな!!!!殺してやる!!!

 死にたい。ここから逃げたい。辛い嫌だ。

 思い出したぞクソッタレ!!絶対許さない!殺す!殺す!!!

 俺をよくもこんな俺を!こんな・・・こんな目に・・・!





 」」」」」」




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