片耳イヤフォン
@poyopoyo19
第1話
1月1日。
私の周りでは、よく不思議なことが起こります。
今日の夜のことでした。
一人暮らしなので、普段はシャワーだけで済ましがちですが、
いくら一人暮らしとは言え、正月だし、今日ぐらいは湯船に浸かろうと思ったのです。
ノートパソコンでYouTubeで音楽を流しながら、ワイヤレスイヤフォンを右耳にだけつけて風呂掃除をすることにしました。
浴室に入り、シャワーを手にすると、ワイヤレスイヤフォンから聞こえてくる音楽が途切れ途切れになり、次第に聞こえなくなりました。
ノートパソコンのある場所からバスルームまでの距離があるからか、Bluetoothに干渉する何かがあるのだろうなと思い、音楽は諦めてスポンジで浴槽を擦っていました。
その間、手が濡れていたので、私の右耳には音のしないワイヤレスイヤフォンをつけたままで、浴室には洗剤を流すシャワーの音が響いていました。
「祐子…」
私は驚きと共に立ちすくみました。
明らかに、ワイヤレスイヤフォンをしている右耳から、私の名前を呼ぶ声が聞こえてきました。
普段から少し変わった事が起こるので、私は気のせいだと思うようにしました。
バスタブについた泡を流し、浴室を出ようとしたその時です。
「ゆううううう!うううううう!こおおおおおおお!!!」
男の声が私の名前を絶叫し、右耳に物理的な衝撃のように響きました。
本当に右から誰かに殴られたような衝撃があったんです。
だって、気が付くと私はバスルームの冷たい床に倒れ込んだまま、動けずにいましたから。
しばらくして、私はワイヤレスイヤフォンを耳から外しました。
すると、浴室に入るまでに聞いていた音楽が流れ始めました。
急いで震えながらノートパソコンを置いている部屋に戻ると、YouTubeの画面は浴室に行く前に流していた音楽の画面のままで、履歴を確認しても異変はありませんでした。
そのため、何者かが私の名前を絶叫し、その声は確実にワイヤレスイヤフォンから聞こえていたのは実際に起こったことなのに、確信が持てず、それが現実なのか妄想なのかわからなくなりました。
片耳イヤフォン @poyopoyo19
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます