第3話 執事



「.......」


ここの世界の知っている事は今までこの体で生きていたときのことしかないからまずは転生したのならここの情報を集めるしかない

のぞいた記憶しかないこの記憶ではこの大きさ的には屋敷といっていいのかわからないが

本がぎっしり入った書斎部屋中にあった記憶がある



「よしまずは......」


自分の部屋から抜け出して

もし雇っているであろう使用人たちに見っていろいろ聞かれたら面倒になるので

なるべく隠れながら書斎を探す


「......違うか。......ここか?.......ここ広いな。」


部屋のドアを手当たり次第開けていると

ついに本が一面に並んである

書斎らしき部屋を見つけさっそくその中に入る

ありとみわたす一面いちめん

本棚ほんだなで埋まっておりその中にはびっしりと並べてある

私はすぐそばにあった一つの本を手に取ってそのまま木の板らしき床に座って見ようとするが......


「そこで何をしているんですか?」


声をかけられ後ろに振り返るとそこに執事らしき服装の一人の老人が

中腰になって床に座ろうとしていた私を上から見下ろすように見つめていた

そして私はふと無意識むいしきに頭の上を見た


「.......え?」



***



ステータス


名前 レフティ


職業 

執事


MP(魔力) 434/434

ATK(攻擊力) 202

DEF(防御力) 191

LUK(運) 32


適正魔法


スキル

無想むそうの心



***



ステータス歴一日未満でも分かるような

そんな異常を目撃した私がまるで時間が停止したように漠然ばくぜんとしている中

その執事はいま私が持っている本をチラり見て


「歴史の本をみているのですか?」


そう私に視線を合わせながら聞いてきた

別に怪しい行動をしていないのでなにか疑われることはないので

そのまま返事を返す


「......そうだ。」


「いつからここに?」


......なんだかこの執事が前のめりになりながら距離を詰めているように感じるのは気のせいだろうか?


「......さっき来たばかりだ。」


「......そうですか。......何を読もうとしていたのですか?」


「うん?これだが......」


右手に持っていた本を持ちながら左手の人差し指で示す


「......なぜこれを?」


「?......読みたいから手に取った......それが?」


「読めるのですか?」


なんだ?

いくらこの体が子供でも7歳になったら文字くらいは読める


「......当たり前だろ?」


「そうですか。.......本当にそれだけですか。」


「.......ああ。そうだ。」


「.......わかりました。では私はこれで......」


「.......」


執事が書斎から何やら紙や本を出して手に持ち私に一礼してからその場から離れる......


(いったい何だったんだ?)


しかしよくわからないものはわからないので放置しておく......


「さてこの本を開いて......うん?」


目を凝らしてじっと見つめるが......読めない

いや文字は読めるだが.......


「何だこの単語は.......意味がわからない。」


どうやらこの本に書かれているものは

専門用語せんもんようごらしきものがほとんどで

到底とうていこの私にはまったくわからない.......

私には早すぎたのだ

うん.......

そして次の本を本棚から出した


「次は.......これはなんとなくだが分かりやすそうなものが出てきたな。なになに.......」



***


今から昔


遠いはるか昔のことでした



その頃は人間と魔族が争っていました。




魔族たちはこの世のものとは思えない強力な力で人びとを襲い人類をおびやかしました




そんなところに一人の少年が立ち上がりました。




その少年が剣を取ると天を切り裂き



魔法を使えば大地をも叩き割りました




その神の力を宿った少年は魔族たちを圧倒していきました





この少年が後に勇者と名乗り魔族の王

魔王を倒し世界は平和になりました……




めでたし.......



めでたし.......




***




「……」


ありふれた勇者の物語か.......

異世界とはいえこの世界にもそんなものがあるんだな

以前の私......前世の記憶を持つ前の私だがこれが好きだったらしく

話がよく入り込んでくる

今はこんな勇者や魔族など存在いないらしいが.......


「……」



『勇者』と『魔王』



本に書いてあるその二つの単語を眺めていた.......




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