第5話 友人


ラングレー侯爵とあるように貴族制度があることからラングレー領も国に服している

その国の名称をチャクター王国といいなかなかの大国である

ちなみにラングレー領の国内の位置としては隣国に接するいわゆる辺境であるしかし侯爵といっているほどに領地はなかなかの面積を有している

もちろん貿易も栄えており今住んでいるこの場所も例外ではない

屋敷の前にも街があり人が住む住居も立ち並んでいる

そんな人混み行き違う街のなかに何故か私がいる


「次は何処どこに行きましょうかリク様!」


「あそこに行きましょうよリク様!」


なんでこうなっている?

なぜか今二人の少年の間を挟まれてながら大きな声で「助けて」と叫びたい中屋敷の目の鼻の先にある街を散策している

とくにこの二人に誘拐された......ということではないのだがこうゆう状況になったのは約一時間前......




***



いつも通りの日課のレフティさんの授業でいそがしく私の日常というものが定着してきた時の頃


「......友人だと。」


「え、ええ。アエツ様とレイモン様がいらっしゃています。」


と自室にいる時にいきなりレフティから聞かされた


アエツとレイモン......ぱっと聞いたことがあるような内容な印象だったが

記憶をあさってみると

確か転生前のリク・ラングレーにいた友人のはずだ

アエツは子爵ししゃく家の長男

レイモンは伯爵はくしゃく次男だったはず

彼らの父親と私の転生したリク・ラングレーの父親の関係で仲良くなった記憶がある

今では二人ともこのラングレー領にいるらしい

そういえば転生前のリク・ラングレーとは一緒に遊んだりして行動をしていたはずなのに私が転生してからあまり会ったことがない


「アエツ様とレイモン様の遊びのお誘いはありましたが、勉強に熱心になったリク様を邪魔じゃまにならないように断っておきました。」


……ああなるほどだからか

ならなんで突然そのことを私に言ったんだ


「最近は私の授業で勉強ばかりになっていたので息抜いきぬきにご友人たちと遊んできた方がよろしいかと……」



***



そう言われ

待っていたアエツとレイモンを連れて丘の上にある屋敷やしきの下にある街に行く事にしたが.......


「ここを通せ!」


「リク様が通るんだぞ!」


と街の通路の中で騒いでいる友人二名

私たちは貴族の中では普通の格好かっこうで出歩いている

……そうでなので周りの人達からすごく浮いている

というか街の人たちからこそこそと私たちを指差してなにやら話している

絶対に私たちのことに間違いはないだろう

私も部屋のクローゼットから適当に選んだ服を着たからなんとなくふたりと同類な学校になってしまった

正直前世ではあまり社交会など意外以外ではこんな服きていないし浮いているので内心恥ずかしいので止めようとすると……


「安心してください!」


「私たちが黙らせますので!」


そんなふうに目をキラキラさせながら私を見る

……全然私の言葉を聞く気がいっぺんもないことは純粋な目から読み取れる

しかし彼らは良かれと思ってやっていることだろうけど......


これが平民に対する貴族の普通の対応たいおうとなっている

平民と貴族の間にはとてつもなく溝が広く

貴族は支配するもの

平民は支配されるもの

と絶対的に決められているのでしょうがない

前世でもあったことだし

貴族内でも貴族の階級かいきゅうやめんどくさい派閥はばつで対立があったりする

そのせいで私は死んだんだし


「……」


なんだか鬱になっていたが過去のことだ

今この場をどうするかが今日の課題だ

話をして別のところに話題を広げよう

そして一刻も早くこの気まずい場から離れよう

「そういえばなんで二人がここに?」


「え?言っていなかったですか?」


「私たちの父上がこちらに学びに行けと言って来たのですが......」


つまりいうと私の同じ学業のためらしい

侯爵こうしゃく家であるラングレー領にいわゆる留学りゅうがくしていることになる

貴族の領主は前世と同じく代々家の長男がするものが貴族の基本だ

だがアエツは長男で子爵で継ぐのでまだわかるがレイモンは何故するのかというと

ロースク王立魔法学園おうりつまほうがくえんに入るためらしい


この学園はさまざまな人が集まる学校で卒業すると最低でも一代が限りだが男爵の地位につくことができ、成果を上げればそれ以上の地位につくことも可能らしい

何より『ロースク王立魔法学園を卒業した』というはくがつくので大体の貴族はそこを受験するらしいが

そこに入るのは難関で入ったとしても途中で退学する者もいるほど厳しい学校らしい


その事について聞いてみると

ギクッ

と前にいる二人から音が聞こえた


「......ま、まあまあですね。うん。」


「えっと.......ごにょごにょ.......」


まだ15歳の時に入るとはいえレフティさんから聞いたが筆記だけではなく魔法の実践の試験もあるという

私は前世であれやこれや試験をした経験があるので自信だけはあるがいろいろと大丈夫か?これはもしかしてもし私だけが入学してしまったら


「……」


や、やばい

前世でも貴族の交流があまりできなかった

プラス+α《アルファ》

記憶を見てもこの友人たち以外とよく話している人があまりいない

周りとの関わりを避けようとしていたが流石に一人では学校生活で生きていけない


「……」


勉強の息抜きのために外に送り出してくれたレフティさんには申し訳ないけど


「お前たちが住んでいる場所はここから近いか?」


「え、ええそうです。私たちは同じ場所で泊めていただいていますから」


「それでは行こう」


「え、何処へ……」


「それはお前たちの泊まっている所だ。」


「「え……」」


***


二人が住んでいる家は私が住んでいる屋敷よりかは狭いが

街の一角に大きな家が建っており

家の中もちゃんとしたきれいな内装になっている

私はアエツとレイモンに本を持って来させ、椅子に座らせる


「「……」」


じっと座っていたアエツが痺れを切らしたのか


「……あのリク様……今からなにをするのですか?」


「それは今から勉強だ。」


「.......あのー今日私たちは勉強をしないで久しぶりに三人で遊ぶのではないのですか?」


レフティに言われてそうしようと思ったのだが、これからのことを考えると知っておいた方がいい




そして数時間後

勉強は重要なものだと改めて実感した一日だった

あと......レフティさんせっかく時間取ってくれたのに

空を見上げるとなんだかレフティさんが私の頭の中で笑顔で手を振っていたような気がした……












「……」


ジロー

私たちの後ろに誰かが見ていたが私を含めその時は誰一人も気づかない



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