十五節〈永遠など狂気の沙汰である〉

 レイフォードと別れてから、ユフィリアは一人会場に佇んでいた。

 興奮冷めぬまま家族と会うことはできない。

 頭の隅に追いやるように料理を食べたり、果汁飲料ジュースを飲んだり。

 

 だが、それでも忘れることはできなかった。

 繋いだ手の暖かさ。

 熱を帯びた吐息。

 高鳴る鼓動。


 頭から消しても、身体に刻み込まれてしまっているのだ。

 愛おしき彼の感覚が。


 忘れようとするほど、思い返されていく。

 肩を抱いた時の線の細さ。

 自分を叱責して潤んだ瞳。

 真っ赤に染まった頬。


 今にでも踵を返して会いに行きたい。

 けれど、格好付けて別れた手前、会いになんて行けない。


 悶々と、理性と本能の間で反復横飛びをし続けていると、背後から誰かが打つかった。


 

「おっと、すみません。お怪我はありませんか?」

「……はい、大丈夫です。

 貴方こそ、大丈夫ですか?」



 手に持っていたグラスの中身が飛び散っていないことを確認し、ユフィリアは振り向いた。


 そこにいたのは壮年の男性。

 ディルムッドたちよりも少し年上、イスカルノート公爵閣下と同程度くらいだろうか。


 確か、南の方に位置する子爵家の当主だった憶えがあるのだが、名前が思い出せない。

 それに、何だか形容しがたい違和感がある。

 本当に子爵家当主本人なのか、なんて訊いてしまいそうな。



「ええ、問題ありません。

 余所見をしていまして……お召し物は汚れておりませんか?」

「この通り、汚れ一つありません。

 お気遣い感謝します。

 それでは……」



 言い様のない違和感を放つ彼から逃げ出そうと、話を切り上げる。


 しかし、男はユフィリアを逃してはくれなかった。



「お待ちください。

 これも何かの縁です、少しお話しませんか?」

「……私はまだ子どもの身、面白い話はできません」



 どうしてそこまで呼び止めようとするのだろう。

 疑問をそのままに、上手く躱そうとする。



「いえいえ、お噂はかねがね聞き及んでいますよ。

 レンティフルーレ伯爵家のユフィリア様」



 そこで、ユフィリアは気付く。

 彼は危険だ、と。


 ユフィリアは、上の兄二人に比べ知名度はない。

 社交界だって去年からで、大した功績も上げていない。

 だから、ユフィリアの情報を知ろうとするのは、婚約を結ぼうとする同格か、公爵家・伯爵家のみなのである。


 目の前の男は子爵家。

 子どもがいたはずだが、歳は倍くらい離れている。


 更に、子爵家の子息と侯爵家の息女が婚約する意味はあまり無い。

 南と北、東と西のように離れた地域の縁を結ぶためなら兎も角、かの子爵家はレンティフルーレと同じく南側。

 ディルムッドが利益のない婚約を受けるはずがないから、調べる意味もないはずなのだ。


 しかし、彼はユフィリアを知っている。

 つまり、それは家の格を目当てにした調査ではない。

 ユフィリア個人を目的にしたものだ。


 まだ何の成果も上げていない六歳の子ども。

 その情報を調べるなんて、碌な目的ではないのだろう。


 また厄介事に巻き込まれる前に、その場を去ろう。

 はっきりと、会話を打ち切ろうと口を開いた────が、それが声として発されることは無かった。


 彼は、上着ジャケット衣嚢ポケットから何かを取り出す。

 それは、陣が刻まれた透明な石。

 効果は不明だが、術具の一つであるようだ。


 男から離れようとするユフィリアだが、体格差により逃げ出すことは叶わず、腕を捕まれてしまった。

 強く掴まれた痛みで、グラスを落とす。

 硝子の破砕音で周囲の視線が集まるのも束の間、彼は床に術具を叩き付けた。


 源素と共に広がる術式。

 それは、結界の一種であるようだった。



「何をするんですか、放してください!」

「すまないが、それは難しい相談だな」



 掴んだ腕を起点に、男はユフィリアを引き寄せる。

 首を絞めるように抑え、首に刃物を突き付ける。



「全員動くな!

 動けば、この少女の首を掻き斬る……!」



 会場全体がどよめく。

 刃物を出した瞬間に、周りの貴族は二人から遠ざかって行った。

 その幅、凡そ三十尺十メートル

 距離を詰めるより先に、ユフィリアに刃が届くだろう。


 騒ぎは、ユフィリアが人質として捕らえられていることの他に、もう一つ起こっていた。



 ────精霊術が使えない。



 皆が口々に言い出した。

 詠唱を唱える声が聞こえるが陣は形成されず、契約精霊も姿を現さない。

 異常事態であった。 



「……気付いたようだな。

 ここにはもう、精霊も環境源素も無い。

 わたしが、全て排除したからだ」



 先の術具は、そのためか。

 あれには、源素の排除術式が刻まれていた。

 精霊ら、源素の無い空間では存在が保てない。

 男は、この周囲を無力化するために、あの術式を起動したのだ。


 しかし、この結界から出ればその通りではないはずだ。

 何らかの方法で外に出る、もしくは外側から内部に向けて狙撃でもすれば、この男は力を失う。

 

 だが、そんな簡単に対処が出来れば、騒動はもう終結しているはずだ。

 そうならないということは、そう出来ない理由があるのだろう。


 

「試した者もいるだろうが……この結界から出ようとしても無駄だ。

 外からの攻撃も同じく、な。

 これは、何年も掛けて構築した結界術式。

 それこそ、くらいの力がなければ解けないようになっている」



 ユフィリアの考察通り、結界の破壊・脱出は難しいようだ。

 ならば、どうにか物理攻撃で彼を鎮めるしかない。

 それも、ユフィリアが囚われている限り難しいかもしれないが。


 沈黙が会場を包んだ。

 貴族の中には、ディルムッドやシルヴェスタのように戦闘経験があるものが多く居る。

 

 だが、人質を取られた状態で対処することは出来ないだろう。

 彼らは、魔物との戦闘しか経験がない。

 対人戦闘は、貴族よりも騎士の仕事であるからだ。


 つまり、今取れる方法は『対話』しかない。


 最前列にいた赤い礼服ドレスの女性、イスカルノート公爵キャロラインが叫ぶ。



「……ノストフィッツ卿。

 いや、違うな。お前は何者だ?」

「公爵閣下、生憎とわたしはノストフィッツでありますよ。

 ────四百年前の、ですが」

「そういうことか……!」



 『四百年前のノストフィッツ子爵家当主』。

 そんな人物が、何故現代にいるのだろう。

 当然の疑問を彼は解き始めた。



「肉体は、あなたたちの知るノストフィッツだ。

 わたしは、彼の精神を乗っ取ったに過ぎない」

「ならば、本当のノストフィッツ卿は。

 彼らの家族は、どこにやったのだ!」


 

 男は怪しく微笑む。

 その問を待っていたかのように。



「────皆、帰らぬ人となりました」

 


 誰もが息を飲んだ。

 彼は、殺したのだ。

 本来のノストフィッツ子爵と、その家族全てを。



「この外道が……!

 過去の亡霊め、今更何を成すというのだ!」

「……亡霊、ですか?

 あなたがそれを仰るのですね」



 激怒するキャロライン。

 それとは正反対に、男は温度のない言葉を紡ぐ。

 至って冷静に、ただ事実を述べるように。



「わたしからすれば、あなたたちの方が亡霊ですよ。

 過去の幻想に囚われ、叶いもしない『永遠』とやらのために、ありとあらゆるものを犠牲にする。

 殺めた数で言えば、そちらの方が上なのでは?」



 キャロラインは苦虫を噛み潰したような顔をした。

 


「……復讐か?

 そんなことをしても、彼女は帰ってこないだろう!」

「ええ、そうでございましょう。

 あの子は優しい子でした。

 何も恨まず、何も妬まず、ただ自分の運命を受け入れました。

 しかし、何もしないというのは、腹の虫が収まりません。

 これは、わたし自身の復讐なのです。

 わたしからエヴァリシア・・・・・・を奪い、抹消したこの国への!」



 『エヴァリシア』。

 その名を知っているものは、この中でもそう多くはない。

 知っているのは、各貴族家の当主のみ。


 彼女は四百年前に生きた、齢六歳の幼子。

 そして、『体内源素過剰症』によりこの世を去った二人目の少女であった。



「あなたたちには分からないでしょう。

 この哀しさを、この苦しみを。

 奪って、消すばかりのあなたたちには!」

「……それは」



 キャロラインの脳裏に過ぎったのは、とある想い人。

 そして、彼とよく似た少年。


 キャロラインは、喪う苦しみを知っている。


 だが、奪う者でもある。

 喪うことよりも奪うことが多い彼女には、彼の言葉を否定し切ることはできなかった。



「ああ、そうだ!

 あなたたちはそういう人だ!」



 男は嘲笑する。

 自らを陥れた者たちが、反論することなく押し黙っている。

 それを笑わないでどうするというのだ。



「『永遠のアリス理想郷テラ』なんてくだらない!

 どこが永遠だ、どこが理想だ!

 犠牲の上に成り立つ、反理想郷ディストピアではないか!」



 永い時間溜め込めた本音を吐露するように、男は語り続ける。



「永遠など、狂気の沙汰だ。

 そんなものはあり得るはずがない。

 あってはいけない。

 希望も、幸福も終わりがあるからこそ、存在するものなのだ」



 男は大きく息を吐き、また大きく息を吸い込んだ。

 己の意志を叫ぶために。



「今、わたしはここに宣言しよう!

 この虚構うそに塗れた反理想郷ディストピアを壊し、真実ほんとうの世界に造り変えると!」



 彼は手に持っていた短剣を足元へ放り投げる。

 それを合図に、機を狙っていた貴族たちが一斉に襲いかかる。


 しかし、彼は袖からもう一つの術具を取り出し、またもや床に叩き付けた。

 構築される黒の檻。

 外部から内部は一切見えない、不可視の結界だ。

 ユフィリアと男、その他の貴族たちは完全に分断されてしまったのである。


 緩まった拘束から抜け出し、ユフィリアは結界の一部を殴り付ける。

 十回、二十回、数えるのも忘れるくらい殴り続けた。


 それでも、結界には傷一つ付かない。

 ユフィリアの拳に、血が滲んだだけであった。



「……随分お転婆なお嬢様だ。

 やはり、エヴァによく似ているよ」

「……だから、わたしを選んだのですか?」



 振り返ると、男はまた新しい短剣を抜いていた。



「そうだな……誰でも良いと言えば良かったのだが、昨年貴殿を見掛けた時、貴殿しか居ないと思ってしまったのだよ」

「……同じようなことを私に言う人が居ました。

 けれど、貴方の言葉は、その人の言葉より嬉しくありません。

 女性の口説き方を学んでから出直して来てください」

「……手厳しいな、今の女性は」



 彼は、懐から布を取り出すと丁寧に短剣の刃を拭いた。

 錆一つ無いというのに、不思議なものだ。



「気になるかね? この短剣が」

「はい、今から自分を刺し殺すものですもの。

 気になるに決まっています」

「……その返し、本当に子どもか?」

「見ての通り、六歳児ですよ」



 顰めっ面で問う男に、完璧な礼をしてみせる。

 彼は呆れたように笑いながら、先の話の続きを始めた。



「これは我が一族に伝わる家宝……らしいが、わたしも詳しくは知らないのだ。

 文献によれば、千年以上前からあるものだそうだ」

「骨董品も骨董品ですね。

 そんなもので私を殺せるのですか?」

「ああ、神秘による保護があるからな。

 永遠・・に朽ちることはないそうだ」

 


 永遠なんて言葉選びをしたのは、この国に対しての意趣返しなのだろう。

 皮肉なものだ。

 この国を造り変えると宣言した男が使った剣が、永遠を謳っているなど。



「……すまないな、わたしの自己満足に巻き込む形になってしまって」

「今ここで死ななくとも、後で殺されるのでしょう?

 早いか遅いか、それは大した違いではないのです」



 ユフィリアは気丈に振る舞う。

 殺されることに恐怖心を抱かないわけではない。


 しかし、怯えて何も出来ないのは嫌だ。

 最期まで立ち向かう。

 ユフィリアには、それが出来た。

 


「……本当に貴殿は強いな」

「強い女の子はお嫌いで?」

「いいや、大好きさ。

 ……娘も、そうだったからな」



 男の瞳が優しさを帯びる。

 ユフィリアとエヴァリシアを重ねているのだろう。


 

「……少々話し過ぎたか」



 彼は短剣を拭いていた布を懐に仕舞うと、次は小瓶を取り出した。

 宵闇のように黒いその液体を、刃の部分に振り掛ける。

 時間稼ぎも、もう終わりらしい。



「……最期に訊かせてくれ。

 貴殿は、この国をどう思う?」

「些か曖昧な質問ですね?」

「そうとしか訊きようがないからな、赦せ」



 ユフィリアは逡巡する。

 生まれてから現在に至るまでの約七年間。

 父と母の元に生まれ、兄共々可愛がられ。

 学校に行ったり、遊びに行ったり、友達を作ったり。

 

 そして、運命の人に出会った。

 彼が居なければ、今の自分は居ない。

 ユフィリアのわたしを造ったのは、彼なのだ。



「……私は、この国を愛しています。

 この国で生まれた家族や友人たち。

 そして、愛しき彼。

 彼らが生まれたこの国を、愛しているのです」

「……その国が、自分の大切な人を奪ったとしてもか?」



 哀しそうに目を伏せ、男は問う。

 その問いは、彼の迷いを表していた。

 


「恨みも、妬みもするでしょう。

 哀しくて、苦しくて、壊したいほど憎いでしょう」



 『娘を奪ったこの国を、赦してはおけない』。

 彼のその想いは痛いほど分かる。

 愛した者と永遠に会えなくなってしまうことは、代用することのできない辛いことなのだ。


 夢の中の『彼』。

 いくら求めても、『私』が会えない人。

 

 レイフォードは、『彼』の代わりにはならない。

 ユフィリアが『私』であっても、彼がユフィリアの運命だとしても。

 それは、あり得ないことだ。


 目の前の復讐者は、ユフィリアとエヴァリシアを重ねている。

 ユフィリアの言葉を、エヴァリシアの言葉としている。


 しかし、死者の代わりなんて居ない。

 大切な人であるならば、尚更だ。

 自分の意志を、死者の意志としてはいけない。


 だからこそ、ユフィリアは彼を否定しなければいけなかった。



「それでも、私は愛します。

 何故なら、私の愛した人々がこの国を愛しているから。

 愛した人々が愛しているものを、壊したくないから」



 ────だから私はこの国を、この世界を愛すのです。


 心の底から絞り出す。

 本当は、貴方もこの国を愛しているのではないのか。

 そう、訴えかけるように。

 

 ふらりと、男の足取りが揺れた。



「……わたしは、まだこの国を……?

 いや違う、違うんだ。

 愛しているはずがない、愛せるはずがない!

 わたしはずっと、この国を憎んで来たのだ!

 エヴァの復讐をするために!」

「……役を羽織るのも、いい加減にしていただけますか?

 お粗末な演技は、見るに堪えます」



 迷い続ける男。

 その姿は、どこかあの少年に似ていた。


 下手くそな演技で、誰かのために役を演じ続ける。

 彼らは、役を脱ぎ捨てられない。

 その役は、大切な人への執着そのものであるから。

 愛が形を変えたものであるから。


 なら、どうすれば君を救えるだろう。

 答えは、案外単純なのだ。



「そんなものより、貴方が演じたい役を演じれば良いではないですか!

 似合わない悪役よりも、心から成りたい役を!」

「……解ったような口振りで!

 君に、いったい何が解るというのだ!」



 冷静な男が見せる激情。

 羽織っていた役から見えた、彼の素。

 蛹を剥がすまで、あと一歩。



「解りませんよ!

 貴方のことなんて、一つも知らないのですから!

 けれど、貴方が心から復讐を望んでいないことは解るのです!」

「……わたしが復讐を望んでいない?

 そんな言い掛かりは止めてもらおうか!

 わたしはエヴァを殺したせかいを、ころさなければいけないのだよ!」



 『ころさなければいけない』という言葉。

 彼にとっては、無自覚で何気ない一言だったかもしれない。



「────それは、貴方自身の意志ではなく、愛する者としての義務感からではないのですか?」



 しかし、確かに己の意志と反していることが見て取れたのだ。


 

「……そんな、はずは……。

 わたしは、自分の意志でこのせかいを……」



 男は頭を抑え、再びよろめく。

 核心を突いたユフィリアの言葉に動揺して。


 今しか、ない。



「なら今、ここで再び宣言してください!

 辿り着いた、貴方の真実こたえを!」

「……わたしは、わたしは……!」



 抑えきれない激情のまま、彼は走り出した。

 手には黒い液体に濡れた短剣。

 その切先は、ユフィリアに向けられていた。


 時間切れタイムアップ

 死は、どうしてもユフィリアを連れて行きたいらしい。


 目蓋を閉じる。

 いずれ来るであろう痛みに備えて。


 頭の中を、思い出が駆け巡る。

 ユフィリアを溺愛する父。

 そんな父を叱りながら、愛してくれる母。

 少し抜けているけれど、優しい上の兄。

 真面目で、けれど清濁併せ呑む下の兄。


 使用人や、友だちの皆。

 親友で、恋敵ライバルのテオドール。


 そして、愛するレイフォード。

 ユフィリアの想い人。


 彼と結んだ指。

 彼と触れ合った熱。

 まだ、身体に刻まれている。


 

 ────約束、絶対に守るって。そう、言ったのになあ。


 

 しかし、その約束は果たされることはない。

 死んでしまえば、会うことは出来ないのだから。


 凶刃が迫り来る。

 ユフィリアの生命を奪おうとする。

 

 怖かった、逃げ出したかった。


 けれど、ユフィリアは立ち向かった。

  それは、恐らく『死』と向き合いたかったから。

 彼と同じように。


 レイフォードは、自分が死ぬと分かっていても逃げ出さなかった。

 その運命に抗って、そして受け入れた。

 

 ならば、私も精一杯抗って。

 それで、どうしようもなくなったならば受け入れようじゃないか。


 その結末がどうなろうと、私はやりたいように演じる。

 彼と同じ舞台に立つ。

 演者は、最期まで舞台に立って演じるものだから。


 終幕フィナーレの後、終演の挨拶カーテンコールまで演劇は終わらない。


 ユフィリアという役の終わり。

 短剣に刺され、生命を落とす。


 さあ、来い。

 演じてやろう、演じてみせよう。

 悲劇の登場人物ヒロインというものを。


 しかし、痛みはいつになっても来ない。

 不思議になって、目を開けた。

 

 

「────なん、で……?」

 


 青を貴重とした礼服。

 ユフィリアとそう変わらない背丈。

 男にしては長めの月光色の髪。

 青空を映した異色虹彩ヘテロクロミア


 

「……ごめん、遅くなった」



 そこにいたのは、ユフィリアの愛する者。

 レイフォードだった。

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