第23話

デップリのヤツ、私の裸やオッパイを見る目が、妙に熱を帯びて、輝いているんだよな。

私の裸で喜んでもらえるなら、別に文句を言うようなことではないが。

アイツが私の身体を興味津々に見つめてくるたび、私は悪戯心から、わざとアイツの視線から見えないように身体の向きを調整する。

そういうちょっとした意地悪が、私にとってはひとつの楽しみになっていた。

自分の身体のラインには、他の女と比べても、密かに自信を持っている。

それをデップリは、美しいとほめてくれる。

私たちの世界では、男に身体のラインをほめられることなんてない。だから、アイツの言葉には戸惑ってしまった。

デップリの言葉は、予想外のサプライズのように私の心を、新たな感情で満たしてくれた。

オッパイを触ってみるかと聞いた時のアイツの顔は、新しい玩具をもらった時の子供のように嬉しそうだった。デップリのその無邪気さに、私は思わず微笑んでしまった。変なオトコだ。

私もデップリやジョンには助けられたし、これからも世話にならなければならない。彼に対して何か恩返しをした方がいいだろうな?

それが異世界人同士である私たちの関係を、更なる次元へと進めるきっかけになればと思う。


ジョンから放出される精さんは異常だ。

精さんを吸収すると、心身ともに浄化され、さわやかな爽快感が全身を包む。その中で力が充実して沸き上がってくる。

沸き上がった力は躰中を駆け巡る。そして、細胞一つ一つに活力を、精神に英気を注ぎ込み、満ち溢れていく。

私たちの種族は100歳くらいで、体内に保有できる魔力量の成長は止まる。

魔力の保有量が増えれば、戦いの舞台での持続力が増し、より強力な魔法を操れるようになり、空を長く飛び続けることができる。

魔力保有量は、個人差がある。私は多い方だが、けた違いに多いのが、魔法士だ。

それなのにアイツの精さんは、成長の止まった、私の中の魔力保有量を増加させる不思議な力を秘めている。

このような特別な精さんに出会ったことは、私の生涯でも初めてのことだ。その存在すら、話にも聞いたことがない。

これほどのモノは、他の女には渡したくない。この宝物を独占したいという欲望が心を支配した。

そうだ! 今のレイラに何もしてやれない自分に、苛立ちを覚えていたが・・・。

レイラにデップリの精さんを注入したら効果があるかもしれない? と思いついた。 

しかしレイラは、手から魔法で吸収できる状態じゃない。

どうする? 昔ながらの子孫を残す古典的なやり方でやるしかないな。

私も、どんな結果になるか、興味がある。

レイラが、普通の状態なら、ボクにそんなことやらせるんじゃない。と拒否られるだろうが。

今の状態では、抵抗できんし、実験に付き合ってもらおう。

ジョンをレイラの(ピー)に(ピー)て射精させたらどうなるんだ?

私の妄想が暴走する。

「私も結構、マッドサイエンティストだな。イッヒヒヒヒィィィ」・・・・・。

・・・、一人でふざけて、役を演じても、物足りないな。・・・こういう時は、相方が必要だな。

「ハァ~ッ、早くデップリ、帰ってこないかな?」つい、つぶやきが漏れてしまった。

そうだ。女の裸に慣れてないデップリに、レイラを風呂に入れさせよう。

私たちの世界の風呂は男女一緒だというのを、えらく気にしていたからな。

私たちの世界の混浴を経験させてやろうかな。

その割に女の裸を直視できないんだよな、アイツ。

女の裸が好きなくせに、怖いのか? 


デップリから情報を得ようと脳を精査した時、なぜ途中で情報の抽出や脳内の整理をやめたのか。

それには、理由がある。

デップリの脳には私たちの種族にはない、未知の領域が存在していたからだ。

そしてその領域は、私では解析出来できなかった。

だから、ごちゃ混ぜの情報をへたにいじくって、未知の領域に影響するのが怖かった。

秘密なのか、デップリ本人も知らないのか。

アイツのそれは、封印されているように無反応で静まりかえっていた。

これでは、よっぽど詳細に調べねばわからんところにある。

その謎の領域に気づいたのは、偶然ではない。私は同じような領域を持つ者を知っているからだ。

レイラだ。

レイラの場合は生命の鼓動が感じられるほど活発に活動していた。対してデップリのそれは、まるで死んだように静寂に包まれていた。

私も詳しいことは知らないので、昔一度、レイラにその領域のことについて聞いたことがある。

レイラは一言、「一族の呪いだ」と、重たい口調で言ったきり、あまり話したがらなかった。

なのでそれ以降聞いたことはないし、今日まで長い間忘れていた。

それが何故、デップリにあるんだ

デップリの体を魔法で変化させた時、私はその領域に魔力をそっと滑り込ませた。もしかしたら、何か変化が起きるかもしれないと思ったからだ。

未知の領域が活性化する可能性を期待していたが、残念ながら変化の兆しは見られなかった。

レイラの謎に包まれた領域と、デップリの沈黙を守る領域。

一体、この二つの領域に何か関係があるのだろうか。私には分からない。それでも、胸の中に、ぼんやりとした糸がつながっているような感覚があった。

レイラがこの世界に来たこと、デップリがこの世界で生き残ったこと。

この二つには、関連性があるのか?

何故こんな状況のなかで二人は出会ったのだろう。偶然ではないのか? 運命的な意味のあることなのか?

もしこの二人に、運命的な何かがあるのだとしたら・・・。

私らしくはないと我ながら思うのだが、なんだかジェラシーを感じてしまう。

私たちの脳は不思議な場所で、まだまだ解き明かされていないことが多い。

しかし、そんな難解な謎に頭を悩ませても始まらない。結局のところ、私たちの運命は、計り知れないもの。

わからないことに囚われるよりも、流れに身を任せるのが一番。なるようにしかならない。

そう思いながらも、心の片隅では未だに二人の関係が気になっている。


日が傾いてきたな。そんな時、窓辺でぼんやりと外を眺めていた私は、信じられない光景に目を奪われた。

裸の男が、まるで夢遊病者のようにフラフラ歩いていることに気が付いた。デップリ以外の生存者か?

この世界の人間も裸で出歩いているじゃないかとデップリに文句を言うことを考えた。

しかし、よく見るとその男は、レイラと同様に、魔法でやれている状態だった。

あの状態でも、歩けるんだな。

私は興味津々でその様子を見守った。男は一心不乱に森へと向かい、やがてその姿は茂みに消えていった。

まっ、いいか。裸で思い出した。射精の勉強をするんだった。


デップリに教わった通り、パソコンとやらで動画を見ることにする。

この機械はすごいな。いろんな情報が詰まっている。

これこそ魔法だ。ここには、私たちの世界では決して手に入れることのできない、膨大な情報が詰め込まれている。

魔法を使ったとしても、これだけの知識と情報を一人で集めることは不可能だろう。

おすすめの動画はこれだと言っていたな。どれどれ。

なんだこの世界の人間も、キスであいさつするではないか。

ずいぶん長い時間キスするんだな。ベロをそこまで絡ませなくてもいいだろう。ベロであいさつしてるのか?

あの男はなんで首を舐めてるんだ? うまいのか? 味がするのか? あとでデップリのを舐めさせてもらおう。

ここから服を脱ぐのか。もしやあれがブラジャーといううやつか。模様が綺麗だな。ちょっと興味がある。

乳首は吸わずに舐めるのか? 何だこの女の反応は? なんだ、なんであんな声を出しているんだ?

いや~って、いやならやめさせろ。

やたらと手で揉むんだな。

デップリは、男はオッパイが大好きだと言っていたが、デップリも揉みたいのか?

私は別にかまわないが、あの女の様な反応はできない。

と自分の胸を揉みしだいてみる、なんでこんなもんに触りたいんだ? 

それに、ア~ン、ア~ン声を出す意味が分からない。

それで、精液はいつ出てくるんだ。

ウッ!・・・ギャー!、この女ジョンを舐めてるぞ。ヒ~、、、口にくわえこんだ~!

なんで、そんなことをするんだ? グェ~、私にはそんなことできないぞ。

この世界の、この世界の女、恐るべし。私には、まねできない。ジョンを咥える意味が分からん。

ンッ? 逆方向に重なり合って、なっに~!? お互いの股間をなめ合ってるぞ~! おぞましいィィィィィ。

ジョンのことは、かわいい奴だとは思うが、こんなことまでするのか? 私には無理だ。勘弁してくれ。

で、精液とは何の関係があるんだ?

ジョンを女の股間に入れたぞ。いよいよ精液の登場だな。やっとか。

・・・・・? なんで出したり入れたりしてるんだ? これがデップリが言っていたエロい状況というやつなのか?

オッ? 体の配置を変えたぞ。

でもさすがに、女がアンアンうるさすぎないか?  あんな声を出す必要があるのか?

あれも射精のための一環なのか? 呪文なのか? 

男と全裸であんなに身体を絡ませ合って、楽しいのか? 

精液を得るのに、こんなに長い時間が必要なのか? 見るだけでも疲れてくる。

動きが早くなってきたぞ。こりゃ、男は大変だな。射精のたびにこんなに早く動かすのか? やっと射精したか・・・。

こりゃ、大ごとだ。射精にこんなに時間がかかるのか? 面倒くさい。

この種族のマネ事は、私にはできないな。

デップリたちも大変だな。でも、デップリもこの行為をするのが好きなのかな? あとで聞いてみるか。

私はジョンを自分の体に受け入れるなんて、まだ一度もした経験がない。どんな感触なのか想像すらできない。

一度やってみるか? 我々も子孫を残すときには、しなければならない行為だからな、いずれはやるのだろうが。

自分自身が子供をつくるなんて、今まで考えたこともなかった。

デップリたちの種族はこれが普通の行いなのだろう。

それを私が完全に否定して、私の世界のやり方をデップリに押し付けるのはどうなんだ? 

デップリから快く提供してもらえる、いい妥協点はないものかな? 

デップリがイヤイヤやらされていると感じたら、もうオマエには協力しない、とか言って逃げ出されるかもしれない。

そーなったら、困るよな。私は力で押さえつけて、デップリから精液を奪い取らなければならなくなる。

私の世界の男ども相手なら、その方法でも気にもしないが、親切なデップリには、そんなことしたくないんだよな。

今も、私たちの食べ物の調達に行ってくれているしな。優しい奴だな。

デップリは、おすすめ動画を2本教えてくれたけど、1本でどっと疲れてしまった。

しょうがない、もう1本見るか・・・・。

・・・・・早送りだ・・・・・・もっと疲れた。

射精の勉強させてくれなんて言うんじゃなかった。

この世界の女のように、SEXでデップリを楽しませることは、できそうにないな。

だが他のことで、この世界の女にはできないようなことを味合わせてやる・・・。

私と一緒でよかったと思わせてやる・・・・・・そのためになにか、いいアイディアないかなー?

疲れて、なにも思いつかない・・・。

気分転換に、楽しそうな動画でも探すか。

アニメ? 絵が動くのか。面白いじゃないか。

・・・・・・・・・・・これは、私にもできそうだな。

・・・・・・・・・・・この技は素晴らしい。完全に記憶するぞ。

本棚にマンガというのもあると言っていたな。見てみよう。

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