第7話

とここまで、彼女は自分の状況を、日本人から見ると豊かで多彩な表情と、欧米人なみの大きな身振り手振りで熱弁し、説明してくれた。

日本語がたどたどしい時もあるが、母国語並みに話せるようになったら、お笑い怪獣にも対抗できるのではないだろうか、と思える勢いで話している。

思いの丈が募ると、熱く語るタイプのようだ。

ちょっと、めんどくさい奴だ。

しかし、話している内容は、地球人のオレには荒唐無けいすぎて、理解に苦しんでしまった。

精液が魔法の燃料って、はっ!? って感じだ。

じゃ、子供はどうやって作るんだ? 

後で、手取り足取り教えてもらおう。

でも根本的には、コロコロ変わる彼女の美しい表情に見とれて、話している内容が、頭に入ってこなかったんだけど。

ダメだ。彼女に引き込まれたしまう。

正気に戻れ、オレ!

それにしても、あれだけ全身を使ったアクションを交えながらしゃべり続けて、良く疲れないな。

オレなら、ヘトヘトだ。さすが異世界人と言うべきか。


その熱意にほだされて、オレは。

「キズの手当てもしなきゃいけないんだろうし、わかったよ。わかったけど、射精なんてそんな簡単にできないんだけど」

「それは、問題ない。私からお前の脳に、信号を送って・・」

「ちょっとまて、またビリビリするのか?」

「軽くだ、軽~くゥ」

と笑顔で言いながら、オレのスェットパンツとボクサーブリーフを一緒に引きずり下した。

凄い行動力の女だ。

彼女の素早い脱がせ技に、面食らってしまって、身動きひとつとれなかった。

「ワッ⁉ ナニすんだ! 今やるのか? ここ外だぞ!?」

「わかってるぞ。すぐ済むから、そんなにビクビクするな。ほら、早く固くしろ」

と、オレのジョンをペシペシ叩いてきた。

「コ、コラッ!、ジョンを叩くな! こんな状況で固くなるわけないだろう!」

「ジョンとは何だ?」

「オマエが叩いてる部分の名前だ」

「オマエ達は、身体の一部分に、わざわざ名前をつける習慣があるのか?」

「オレが勝手に、独り言の時に、そう呼んでるだけだ。ジョンとは人生の同士だからな」

彼女は、少し面白がっているようだ。するとジョンに向かって、語りだした。

「ジョンよろしく、私の命運は君に掛かっていると言って過言ではない。だから、さっさと固くなってくれると助かる。早くしないと捩じ切るぞ」

と、ニコニコしながら、冗談ぽく脅してきた。

「もしかして、オマエ達は、自分の意志で固くすることが、できない種族なのか?」

「そうだ。エロイ状況がないと、ボッキーにならない」

「そうか」と、一言言うといきなりキスをしてきた。

これは、またかと身構えたが、今度は終わりかけの線香花火程度の、ピリッとした感覚が、脳の一部分にだけ走った。

しかし効果は、絶大だった。

ジョンがいきなり、フルボッキー状態になり、ギンッと真上を向いた。

こんなのは、10代の頃以来だ。

カキンコキンで、下っ腹に引っ付くほどのボッキーパワーだ。

彼女は、キスをしたまま、オレの肩に置いていた右手を下にもっていく。

その手は、魔法なのだろうか? 淡く光っていた。

魔法の手は、ジョンの先端を優しく握り、包み込んだ。

また、脳にピリッとした感覚が走った。

途端、スウィッチが入ったかのように、オレの意志とは関係なく、何の前触れもなく、射精した。

精液は、魔法の手が全て吸い取ってしまった。

唇をゆっくり離していた彼女の表情が、突然、目を見開き、驚きの表情に変わる。

すると、彼女の身体全体が、金色に輝き始めた。

オレは、彼女がスーパーサイヤ人にでも変身するんじゃないかと思い、ビビりまくって、スウェットパンツを引き上げながら、2、3歩後ずさった。

彼女は、これは凄い効果だ、こんなこと初めてだ、などとつぶやきながら、金色に輝く自分の体をうっとりと見つめている。

そして、テンションの上がった彼女は、オレの両腕に掴みかかり力説した。

「オマエはいいものを持っている。今まで経験した中で一番だ」

「ジョンのことか?」

「そうだ。いや厳密にはジョンではなく、ジョンから放出される精液のことだ」

褒められたら悪い気はしないが、ジョン本体の大きさや形状ではなく、精液を褒められても・・・。

喜ぶべき事なのだろうか?

「この精液は、今まで摂取してきた中でも、最高に良質な精液だ。魔力に満ち溢れていて、私の身体の中を魔力流が駆け巡っている。こんなに充実した感覚ははじめだ。感動的だ」

彼女は一人悦に入ってるが、オレの方はというと。

何の興奮もなく、快感もなく、満足感もなく、達成感もなく、決定的にエロさが全くなく、もう我慢でできない、出てしまうという緊迫した感覚もなかった。

突然、精液をおもらしさせられたような感覚だ。虚しさしか残らない射精だった。

そんな感情が、表情に出てしまっていたのか、彼女に気付かれてしまった。

心配そうにオレの顔を見上げ、聞いてきた。

「オマエにとっては、不快な行為だったのだろうか?」

オレはセックスの良さを語ってやろうかと思った。

だけど、「異世界人には、わからない」とぶっきらぼうに答えてしまった。説明が面倒くさかったからだ。

彼女は、少し残念そうにしていたが・・・。

「・・そうだな、すまない。」と言い、オレの両肩をやさしく握りながら、「でも、ありがとう」とつぶやいた。

照れくさくなってしまった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る