第4話 防衛ーはじまり4

本日はお掃除がある日。

10時からなので今現在時刻は4時。7時ごろまでトレーニングを行う予定だ。

本日は一時間昨日より早く宿を出て同じコースをランニングした梅。またまた施設の前でガッツポーズをかまし、上からみる人影に気づきつつも気にせず颯爽とランニングを再開し、宿へ静かに戻り水筒と飴をバックへ詰めて公園へ向かった。


昨日のメニューを一通りこなして時間は7時頃。

宿へ戻り10時前まで復習を行い、時間が近づいたら飴を舐めて集合場所ロビーへと向かった。


向かった先には恰幅のいいおばさん1人と三人の同い年くらいの少年達。

「あら、今日からの子かい?仮入隊試験を受けるのかい?この子らも同じだよ」

質問攻めなおばちゃんは、3人の少年を紹介してくれた。

「よろしく。」とお互いに挨拶を交わし今日の掃除場所を教えられた。

「男の子3人は全部の男子トイレと今日は廊下掃除をお願いするよ。貴方は私と一緒に女子トイレとお風呂の簡単なお掃除へいきましょうか。」

そう説明した後男の子たちがギョッとコチラを見たが梅は気にしなかった。


指示されたとおりトイレ掃除を行い、お風呂掃除は桶や椅子を洗剤で流し床も簡単に流して終了だ。お風呂の中はどうするのか聞いたら1週間に一度お湯を全部抜いて浴槽の掃除をするそうだ。お湯は常に巡回しているので汚くないとのこと。

おばちゃんの手際が良く7割は彼女がやってくれたが梅の働きっぷりを褒めてくれた。

嬉しくてついニコッとするとオバチャンはびっくりとコチラを見て「貴方はとんでもない存在になるわ」と気をつけなさいね、と注意を受けた。梅はコテンと頭を傾け何故か注意されたと不満気だがオバチャンに褒められた事が嬉しく流すことにした。


オバチャンが男の子たちの掃除場所を確認しロビーへ戻ると次回の集合時刻を言い渡され解散となった。その間もジロジロと男の子たちが梅の事を見て来たので解散となった瞬間逃げる様に部屋へ戻った。


梅は自分が男の子だと間違えられる事がよくあることは自覚している。話し方も男の子っぽいのも自覚しているが直すのが面倒なのでほっといている。ジロジロ見られるのは分かってはいたが特殊体質の気配察知能力が高くなってから、より一層鬱陶しく感じるため、逃げるなり、前髪を長くして顔を見えない様に工夫している。顔が見えてない時は人々の興味はすぐ他に移る事を梅は経験しているためだ。


「ふぅ。なんか話しかけてきそうだったから逃げちゃった。面倒くさいし…うーんそんな事よりお腹空いた。カロリーマイトを朝食に食べたけど...でもやっぱりご飯足りないなぁ受験日当日と前日はしっかり食べたいから多めにお金残しておきたいし。カロリーマイトは後3箱。ダメだ土曜日死ぬな、自分。」


とりあえずそこ迄は考えたが土曜日あたりエネルギー切れで倒れそうだなっとそれ以降は考える事をやめた。考えても仕方のない事なのだと梅は悟りを開き、夕飯を買いにコンビニへ向かった。


900円迄で梅が買ったのは幕の内弁当450円と牛乳180円。明日の朝食用にバナナ1本100円で購入した。タンパク質と脂質が足りず、飲み物だが牛乳をチョイス。お弁当なので栄養も高いだろうと考え幕の内弁当(弁当最安値)を選択した。明日の朝食様にバナナを買ったのは栄養バランスが良いのとカロリーも高いからである。


一日の運動と勉強、掃除による消費カロリーと成長期の消費カロリーを考えてもこの夕飯の1食では足りないが、なんとか栄養面だけにでも気を使うようにした。

本当であれば弁当を2個買いたいのだが消費税を考えるとそこまでの余裕はなかったのだ。

夕飯をゆっくりと味わい、日課の母ちゃん直伝ド根性お食事メニューをこなし物足りなさを払拭した。


その後、お腹が空かない様に夜は温泉へ直ぐ入り直ぐ寝た。時刻は何と18時。


翌日もその翌日も掃除をこなしたりしつつ1日、約850円程度で夜ご飯を済ませた。

若干来た時より痩せているがトレーニングの成果だと自分に言い聞かせている。





しばらく同じような日を過ごし、本日は土曜日。

梅はどうやら朝から気分が悪そうだ。それもその筈、栄養失調気味なのだ。ライフを体に貯めるも、活力が湧かない。飴を舐めながら宿へ戻り、階段を登りきり廊下を歩いた瞬間、眩暈がして廊下へぶっ倒れた。


ここ数日ほぼ一食分しか食べていなかったため、運動と詰め込んだ座学、掃除のバイトによる疲れから疲労が蓄積したのだった。


ゴンッと酷い音が廊下へと響く。

何かあったのかと恐る恐る部屋を開け廊下を確認する音が聞こえた。梅は立ち直れず子鹿の様に足をプルプルさせその場に再度伏せる。


「な!なんや!お隣さん大丈夫か?!」


梅はぼんやりした意識の中、あ、お隣さんだと気がつき「ダメ。」と返事をし意識を放した。


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