第5話 最初の絶望
ここからは、2023年の線維筋痛症学会でお話させて頂いた内容に、少しずつ捕捉を加えながら綴っていきます。
学会では、医師や患者、関係者という方々に向けてお話ししていたので、このエッセイでは大前提の部分を1~4話で書かせて頂きました。
朝起きて最初に思う事は、「今日は痛みが消えていると良いな」でした。
それでも、結局は昨日と変わらずの痛みが襲って来て、嫌でも考えざるを得ません。
唯一、痛みを忘れていられる瞬間があったのが前述の通り、日本舞踊の時でした。
今の主治医(U先生)と出会ったのはちょうどその頃。
その当時は「線維筋痛症じゃないか?」と、最初に疑問を持った時にネットでたどり着いた「線維筋痛症友の会」のサイトにある手記を読み、同じような苦労をされている人達にひたすら涙を流していました。
とにかく自分も辛かったけど、皆さんの苦労が良く分かる分、本当に泣けて泣けて仕方がありませんでした。
ようやく、待ちに待った治療が始まります。
最初はガバペンという本来は「てんかん」の治療薬を処方してくださったのですが、副作用で視界がぼやけてしまって仕事ができなかったので、プレガバリン(商品名リリカ)という疼痛治療薬の治験に参加することになりました。
今でこそプレガバリンは線維筋痛症にも処方されていますが、その当時はまだ線維筋痛症への治験の真っ最中だったんです。
最初は毎週、その後は2週間に1度、血液や尿検査をして数値を取って行きます。
プラシーボ効果についてもセットで試験されていたため、私の飲んでいるものが本物のプレガバリンなのか偽薬なのか明かされないまま飲み続けていました。
しかし、その後日本舞踊はプレッシャーとストレスが続いたので痛みが持続し、色々と思う所もあり2012年を最後に引退しています。
とにかく大好きだった日本舞踊を失って、絶望の日々を送ることになってしまいました。
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