第4話 婚約者
白ちゃん黒ちゃんとの、使い獣契約がちゃんと完了したので、二匹は森の中以外にも魔素がない街にも出歩けるようになった。
今までは、聖なる森の魔素で活力を得ないとダメだったから。街や魔素がない場所には出れなかったらしいけど、私と契約したから私の魔力を活力にすれば、どこにも行けるらしい。
私の近く、魔力が感じ取れる場所限定らしいけど。
てなわけで、私は二匹を屋敷に連れて来ている。
二匹は私の聖獣なので二匹の姿は、自ら見える様にしない限り私以外には見えないらしい。
後で聞いて知ったのだけど、聖獣の姿は本来見る事自体ができないらしい。なのに私は見れたらしい。
どうして二匹を見れたのかは謎だけど。
さらに二匹は私の魔力と繋がっているので、何処にいても私を見つけてに飛んでこれるらしい。
その機能はすごく便利!!
しかもご飯は私の魔力だから、食べ物は必要ないらしい! でも美味いとかの味は分かるんだとか。
栄養として必要ないのに、私がニコニコしなが食べ物を運んでくるから、二匹は気を使って食べてくれてたみたい。
白ちゃん黒ちゃん、気を遣わせてゴメンね。
二匹の事がバレずにずっと一緒にいれるのが一番嬉しい。
★★★
数時間すると、侍女が私を呼びに来た。
せっかく今日は早くに掃除などをすませることが出来たので、図書館に行きたかったのに。
珍しくいつもよりは綺麗な服を着せられ、応接室でソファに座りある人物を待っている。
なんでそんな事をする必要があるのか?
それは……ある人物と会うため。
月に二回、二時間お茶を飲み、どうでも良い話をする関係だと私は思っている。
そのお相手は、三歳から決まっている私の婚約者様。
「はぁーっ!」
ハッキリ言って私はこの時間が苦手……会話も楽しくないし、めんどくさい。
そんな事を一人考えていると、応接室の扉が開き婚約者様が入ってきた。
私は急いで頭を下げる。
私の婚約者様ゲイリー王国の第二皇子レオンハルト・イル・ゲイリー様だ。
「元気な様だなルチア」
このガリガリで、肌も手も荒れ放題、どう見たって侯爵令嬢に見え無いこの姿を見て、それを言いますか? 相変わらず私の事など全く見てませんね。興味がないのが丸分かりですよ。
……まぁ、それは私も同感ですが。
カーテシーを終え、頭を上げると驚きの光景が目に映る。
「!!!!?」
下げていた頭を上げた時、
私は一瞬目を疑った。
「はっ?」
だって……うっとりした顔で、殿下の腕に絡みながら引っ付いているのは……義姉??
「どーしたの? ルチアそんな目を白黒させてビックリした顔して……ウフフッ」
私が驚いているのが嬉しいのか、義姉はしたり笑いが止まらない。
「……リディアお義姉様。あの? どうして殿下にその様に……?」
「あら? 何かおかしいかしら? レオンハルト様の婚約者には、貴女のような鶏ガラで魅力がない女性より、私のような魅力的な女性の方がお似合いだと思うの」
お義姉様が得意げに話すんだけど。
いやいやいや……ええとですね?
頭大丈夫ですかお義姉様?
レオンハルト様と私の婚約は私が三歳、レオンハルト様が五歳の時に国王様が決めた婚約。
お母様もお父様もこの婚約には乗り気ではなく、断りたかったけど国王様直々に申し出があった事で、断れなくなったとお母様が教えてくれた。
国王が決めた婚約の話は有名なの、で義姉も知っていると思っていたのだか、こんな行動にでるとは本当にバカなんだね。
「そう言う事なのでな! ルチアのとの婚約は解消し、リディアと婚約し直そうと思う」
鼻息荒く婚約解消だと私に告げるレオンハルト様。
正直な意見を言わせてもらえれば、私の方こそ初めからその気持ちでしたよ。
領民の評判の悪い貴方と誰が好んで結婚したいと思います?
そんな奴はいない。
だから言わせてもらおう。私の返事は。
「そうですか、わかりました」
「そうか、嫌か、渋るのはっ……? ああっ、さすが、ルチアだな。物分かりが良い。では、その様に話を進めるとしよう」
何をおもったのかレオンハルト王子は私が駄々をこねると思っていたらしい。
そんなの言うわけないでしょう。
そうでも良いのに、義姉がもの凄いドヤ顔でこっちを見てくる。
いやいや羨ましくなんかないよ。
レオンハルト様は皇子設定のくせに、小説とかでよくあるイケメンじゃないんだよね。
性格もちょっとアレだし。
私も婚約は解消してくれると、すごくすごく助かるけど……無理だろうなぁ。
だって国王様がきっと許す訳ない。
国王様は私のお母様と結婚したかったのだけど、その夢叶わず。
息子達にその夢を託したのだ。
国王様のお母様に対する異常なまでの執着が怖い。お母様は美しいからその気持ち分からないでも……いや無いな。
だから義姉はお母様の血が入ってないから、国王様は許すはずがない。
はぁー、ほんとに婚約解消したい。
二時間は一緒にいないといけないので〔これも国王様が決めた〕
私は目の前でイチャイチャする二人をボーっと見ている。
何を見せられてるんだ! 私!
義姉よ? どうよ? 羨ましいでしょって目で見てくるけれど、全く羨ましくないですよ?
ーーねぇねぇルチィ、レオンハルトから変な匂いがするよ!
ーーうん! 臭えしこの匂い……何か変だ!
えっ、どう言うこと?
ーー魅了魔法の匂いみたいだけど、そこまで完璧じゃない。より臭いし……この匂いは魔法と違う。
魅了って!?
ヤバイ名前が出てきた!
魅了の魔法は、国で五年前に禁止されたからだ! この国の貴族なら普通事、まぁ使える人もほとんどいないって話だけど。
魅了魔法みたいな何かを、皇子は使われている? 急に義姉とイチャイチャしだすのも良く考えたらおかしい。
だって過去の記憶にある王子は、義姉を見る時、汚物を見るかのように蔑んで見ていた。
それが、今日いきなりイチャイチャしてるのだ。どう考えても変だ。
でも魔法ではないと二匹は言っているし……じゃあ何?
「では、もう会う事もないであろう。婚約解消の準備しておくのだぞ」
そう言って二人は腕を組み、部屋を出て行った。義姉はもちろん私にマウントをとるのを忘れずに捨て台詞を残して。
「皇子様に捨てられちゃって惨めだわねーぷぷぷ。まぁアンタにはもったいない相手だったのよ。私みたいに良い女じゃないとね釣り合わないでしょ」
そうですか、私はその皇子と釣り合いたくないので、有り難く引き下がります。なんて事は口が裂けても言えないけど。
それにしても……なんだかやばそうな匂いがする。
ーーあー臭かった!
ーーだな!
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