第2話 これから先を考えよう

 とりあえず、今の自分の置かれた状況を考えて、明るい未来に変えるための作戦を練ろう。


 まず……あの糞義母たちがやってきたのは、お母様が亡くなってから半年後!

 突然嵐のように義姉と二人が侯爵邸に現れた。


 義母は男爵令嬢らしいが、義母の父が魔物大量発生の時に貢献し、その褒賞として一代限りの男爵の位を貰ったらしい。

 だから元平民の義母は、貴族間では当たり前の、挨拶程度の礼儀さえわからない。

 取り決めなどは覚える気がないので論外だ。

 義姉の父については不明。何この情報! 色々とヤバイ。


 正直……こんな頭パッパラパーな義母のどこに魅力があるのだ。

 見た目デブで顔だってまぁ……うん。どう考えたって、お母様の方が何百倍も綺麗。


 お父様が何故この義母を選んだのか分からない……お母様はとても美しかったし。

 それにお父様はお母様の事をとても大切にしていた。

 なのに半年後に糞義母ブタゴリラと急再婚するなんて、当時の私はかなりショックをうけた。


 でもこんな義母でも、私は新しい家族になる人と、仲良くしようと思っていた。もちろん仲良くなるどころか、クソカスにイジメられるんだけど。

 その当時の感情を思い出すと、われながら泣けてくる。


 切ない……はぁ……私天使。


 お父様はお母様が亡くなってから、このお屋敷に帰って来なくなった。

 お城で宰相の仕事を泊まり込みでしていると、義母に辞めさせられた侍女が昔に教えてくれた。

 よくよく考えれば、私はお母様が亡くなってから一度もお父様に会っていないのだ!


 これって、日本で二十五年社会に揉まれ生きてた大人からしたら。

 この状況は疑問しかない。

 こんな事ってありえる? 絶対におかしい。


 お母様が生きていた時に、私の事を大切にしてくれていた侍女や執事……皆義母によって辞めさせられた。

 執事のセバスは最後まで残ってくれ、私を心配してくれていたが、とうとう一年前に辞めさせられた。


 ———今、この家に私の味方は1人もいないのだ。


 ふぅぅ……大分詰んでるな。

 よく我慢したなぁ私。まずは自分を褒めたい。


 さて、何からしていこう。

 今の私にはこの世界の知識が足りない。


 お父様の謎や、義母の事など調べる事がいっぱいだ。

 そもそもお母様が亡くなってから、一切勉強などしていないのだ。タダ働きの召使いだったからね。


 この世界について私が知っている事を纏めると。

 なんとこの世界には魔法がある。

 種族も人間だけでないのだ。

 人族、エルフ族、獣人族、竜人族の4種類。


 この国は人族の王が治める国

【ゲイリー王国】

 そして、獣人族が治める国

【ドラン王国】

 エルフ族が治める国

【リッシェルハイド帝国】

 竜人族が治める

【バハムート帝国】


 種族の特徴とかは、これから図書館に毎日行って勉強だ。


 私、魔法とか使えるのかな? これも調べて使えるなら練習しなくちゃ……!


 あっ!!  大事な事忘れてた!

 白ちゃん、黒ちゃんにご飯あげるの!

 私の可愛い癒しのワンコ達。


 この子達との出会いは、ご飯が貰えず余りにもお腹が空き、食べる物を探しに家の裏の森に行った時に偶然見つけた子犬達。


 なんだろう。自分の過去を思い出すたびに、自分の事なのに余りにも可哀想で、ここに前世の二十五歳の自分も現れて、感情が色々と……ややこしい。

 物凄く胸が苦しい。

 私がルチアのことを助けてあげたかったとか考えてしまう


 こんな時は癒しが必要!

 後でこっそりと黒ちゃん白ちゃんに会いに森に行こう。


 癒されたら、糞義母や義姉のざまぁ計画を立てよう。

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