空間認識能力

洗い物も終わり、先輩の目の腫れも収まりゆっくりしていた。「トン トン トン トン」と階段を降りる足音が聞こえた。「部屋が決まったよ」師匠は言う。俺の部屋には地梁さんが、先輩の部屋には美空ちゃんや榊原さんが割り当てられ女子部屋に、そうしてもう一つの空き部屋に仁くんや穂高さん、酒々井くんが割り当てられ、男子部屋になった。「地梁さんよろしくお願いします」俺が言うと「よかったです。私ルームシェア的なの初めてなので立花さんなら安心です。こちらこそよろしくお願いします」やはり彼は礼儀正しいと思った。「じゃあ明日からは部屋ごとにチームになって訓練してもらうからぁ今日は早く寝よなぁ」師匠はビールを飲みながら言う。「はーい」とみんなが言うものだから俺はお泊り会を思い出した。まだ10時というのに俺たちは床に就いた。「地梁さんって特異なこととかありますか」その問いに「私は空間把握があります。目で見ただけですべてが分かります。例えばこの部屋はさっき見た感じだと十一畳はありますね。20.0646㎡。立花さんは身長170.1cmですね」俺は溜息をつく。「俺ってやっぱ小っちゃく見えるんか」全然と言っていたが、不貞腐れてその日は寝た。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る