久しぶり
今日は退院日である。もう体は回復している。「ガラガラ」と扉が開いた。柴野さんと四島さんである。「もうお別れですね。もうここに来ないでくださいね」そうあざとく笑う彼女とは裏腹に「よし」と体を点検する四島さんは感動しているようだ。「ほんと、よく、頑張ってくれましたぁ」少し涙目で言うものだから俺は笑ってしまった。「ガラガラ」「おう、元気しとったか」みると師匠が立っていた。「師匠~」俺は気づくと抱き着いていた。大の大人がそんなことするものだからみんな笑っていた。二人に感謝を伝えて師匠とワーゲンバスに乗り込む。「先輩は」と訊くと師匠は家で待ってると言った。「…」俺が話せないでいるといろいろと師匠は話題をくれた。懐かしい道が見え家に着いた。緊張と杞憂に身を包みながら、アスファルトに沈む足を無理やり前に進める。まるで就寝前に電気を押しに行く。そんな足取りである。師匠が入り、続けて俺が入った。「おかえり」彼女は照れながら言う。可愛らしいエプロンに包まれた彼女は俺の目に入れるにはもったいないほど輝いていた。「……た、ただいま」「…」お互いがお互いを意識し始めていると気が付く。「え。お前らそういう関係だったっけ」師匠はニヤニヤしていた。あんたデリカシーないんかと俺たちは睨んだ。「ま、ほらぁみんなで食べようや」そう部屋に通された。
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