事情聴取

もう桜は緑に染まっていた。正月も何もかもが見れなかった。そして俺の中でさっきまでともに戦った仲間たちは30人ほどがもう目を閉じてしまっていた。やはり憂鬱だ。最悪の日々である。家族はどう思っているのだろうか。数少ない友人も心配してくれているのだろうか。ふと花と果物が飾られている机に封筒を見つけた。分厚い茶封筒である。表面には「9月分の給料とあの事件のボーナスです」と錆びた文字で書かれている。開けると一万円札が沢山入っている。「50は余裕で入っているだろう」そう思いながら数えると140万入っていた。9月って言ったら2回しか働いていないし、働いたというよりそこで見ていただけなのだ。カーテンに覆われた窓を見ていると「ガラガラ」と扉が開いた。「立花さんですよねぇ」黒いスーツに身を包んだ中年男性が言う。横にはバディだろう背の高い男性がいた。俺が「はい」と返事をすると背の高い男性が口を開いた。「あなただけが頼りです。辛いかもしれませんが、あの、1都2県特殊課壊滅事件についてすべて、覚えている情報を教えてくれませんか?」待てと中年男性は制止する。「私ら東京都超自然的事象局非科学的事件解決特殊課の馬堀と雪村っちゅうんですが、石蕗さんからあなたが、記憶能力が高いって教えてくれたんでぇ、すべて話してくれませんか」俺はなるほどと今までのことをすべて、事細かに話した。

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