再会

俺は驚愕した。俺としての「さっきまで」が耳打ちしてくる。「脆い」あんなに楽しそうに話していたじゃないか。ただただ怖かった。あの一瞬でこんだけの人がこの世を去ったのだ。「俺もう辞めたいです。この仕事」俺の言葉に医師たちは俯いた。「ガラガラ」ドアを見ると師匠と先輩がいた。師匠は変わらず能天気だったが、先輩は患者用の服を着ていた。「久しぶりやなぁ」と師匠が言うので俺は情けなく笑った。「ユウゥゥウ……ウ」先輩が膝から落ちた。「えぇ……きもぉ」俺が引くと涙で可愛らしく腫れた目で俺を見た。師匠から後で聞いた話だが、師匠はあの中で一番傷が無かったそうで、書類などいろいろ欠かされたりして大変だったと愚痴を溢していた。また、あの事件から色々と方針が変わったらしく、もうあんな事件を起こさないと誓っていた。俺たち東京都超自然的事象局非科学的生物討伐特殊課は3名というすくない部隊だったこともあり、唯一死亡者、手足損傷がなかった。他の課は足や手がつかずに退職せざるを経ない方や亡くなった方などがいた。他にもいろいろと変わったことがあるという。先輩は1月まで意識不明の重体だったそうだが、起きてからはずっと立花君に合わせろと喚く日々だったらしい。俺たちが所属する特殊課も人が増えたようで誰がいるのか楽しみである。

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