呪いの赤子

俺たちが駆け付けると住宅街の一角に血だまりが見えた。四肢の捥げた男や首が取れた女性。笑顔で血を吐き倒れている男性や座った状態で血だらけになり、生涯を終えたであろう女性もいた。とりあえず息のある人たちを手当てさせた。その間俺は目の前に置いてある血に染まっただるま落としを足で踏んだ。「掛けまくも畏き幾多鳴るこの御霊有らむをば聞こし食せと祓けへたもふ」祝詞を唱えつつ足に力を入れる。これは胡蝶の夢を見させられちまったようだ。空で指を切る。「下」足が下に沈む。「太歳」コンクリートは割れてしまった。少しやり過ぎたかと周りを見る。みんなは介護に夢中みたいだ。足を退けると小さくストラップになった呪物が俺を憎らしそうに見ていた。それを拾い上げ、みっちゃんに渡した。みっちゃんこと三嶋すずめは俺の弟子のひとりでもある。彼女も壮大な人生を送っている。強姦され、子供を産むも、子供がペットボトルのキャップを誤飲してしまい亡くなってしまった。彼女は呪術に手を出した。そして今は彼女のそばに違う姿でいる。俺が渡したストラップを赤ちゃんに食べさせる。彼女の赤子であった彼は今や荷物を食べて時には出してとつきまとうトートバッグのようになっていた。彼女もまた狂っていると俺は煙草を付けた。

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