起き上がり
電子音がこだましている。俺はベッドの上にいるらしい。まだ、ぼんやりとしている頭で整理する。さっきまで胡蝶の夢の中に入っていて、みんなが血だらけで……。倦怠感のせいか考えるのに疲れ俺はぼーっとすることにした。目を開けたつもりだったが目の前は黒に覆われている。手足に神経を集中させようとすると激痛が走った。「ごぅげ」口から出た音がとても俺の声とは思えず、狼狽えた。ふと「ガラガラ」とドアがスライドする音が聞こえた。
「立花さんはぁまだ駄目ですね。千切れていた手は2か月前に完全にくっついたのですが、まだ起きませんね」女性の声と頷く男性の声が聞こえてきた。俺はまた、「ごぇえ」と声にならない息を漏らした。「立花さん」女性が気づいたのか俺の名前を呼ぶ。もう一度「ごぁえ」と息を出した。頭を持ち上げられ視界がまぶしくなっていく。包帯をとった女性は非科学的医療研究4課の柴野里沙と言った。隣の医師は同課の四島真悟と名乗る。「今は2014年の4月26日です。約6カ月間寝ていました」俺がみんなは?と訊くと2013年12月の時の書類なので今と違う点もありますが、と一言置いてから書類を渡してくれた。
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