胡蝶の夢

ダルマは落ちた。「終わりです。終わりです。終わりでぇす」その声に目を覚ます。片目が痛い。ジャリっと音がして下を見た。「ビー玉?」一粒拾い上げて近くで見る。透き通る青色だ。「これぇエー玉ですよねぇ」片耳を抑えながら言う彼は志村だ。彼の抑えるところからは赤黒い血が滴ってビー玉を染めている。彼曰くここにあるビー玉のようなものはラムネに入っている「エー玉」というビー玉よりも品質が良いものらしい。「こんな時にボケないでくれよビー玉はB玉って意味じゃなくてビロード玉っていうことからきてるだろう」左腕を抑えながら言う彼は柊である。彼の左腕にさっきまであったものはなく赤い血が辺りのビー玉を染めていた。「ここどこだ」そういう彼女は東京の人物特殊課にいる加世田である。俺もぼーっとしていた思考を思い返す。さっきまで木崎さんの家にいた。今は辺り一面を覆う水色のビー玉の上にいた。「胡蝶の夢じゃぁねえかぁあ」ビー玉を退かしながらみんなに歩み寄っていく男は久能である。気絶していたのに元気あるなと思いつつ周りを見る。師匠と先輩は近くにいた。先輩は右手を切断されたようで「ヴヴゥ」と唸っている。

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