先輩の過去

三日月の光が俺たちを照らす。後ろに見える部屋の中はさっきまでの激戦を物語っていた。「あんたがこなきゃよかったってあんたも先生にだよね」と泣く。女の子とイチャイチャなんてしたことが無かった俺はとりあえず背中を摩った。「話してほしい」そういうと独り言のように重い口を開き始めた。私の親はとても過保護だった。だからなのかまぁ私のせいだ。中学生の時とても太っていた。だからよくいじめられていた。私は人より運動神経が良かったから太っていたけれど体力テストは一位。マラソン大会も一位。体育祭は大活躍。そんな私は動けるデブと罵られていた。痩せたいと言っても親は食べ盛りなんだからと聞いてくれなかった。授業参観の日に事件は起こった。将来の夢を語ろうという授業、私は痩せたいと言った。みんなが笑う。私の親は激怒した。そこから私のいじめではなく私たち家族のいじめになった。「おまえのかーちゃんと同様にくせーんだよ」「あんたのお父さんと同様に肌が汚いっていうか顔が汚い」そんな罵倒が飛び交う。家に帰っても家族から「お前は恥だ」「なんでそんな子になってしまったの」と言われる。私は居場所がなかった。もういいやと私は家を駆けだした。

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