緊張

「まああっち言ったらでいんじゃね」とビールを飲む師匠に俺と先輩で「飲酒運転です」と言い。これノンアルだからと赤くなった顔で言う。「いやそういう問題じゃ」という先輩を煽るように車が蛇行した。先生酔ってるって。そうして気づくと一軒家に付いた。別に他の家と変わらない。普通の一軒家だ。師匠がインターフォンを鳴らした。「先ほどお電話させていただきました石蕗です」そういうとガチャリと玄関が開いた。出てきたのは30代前半ほどの男だった。「あぁ待ってましたよどうぞ入ってください」そうして俺たちを案内した。「にゃー」「みゃーみゃー」「にやぁ」廊下には7~9匹の猫がいた。「リビングで話を」とみんなで机を囲んだ。キャットタワーが壁を埋め尽くし、可愛らしい鳴き声があたりを覆っていた。「何匹いるんすかこれ」俺が聞くと27匹と笑う。中には子猫もいるらしく猫の王国だった。「ではそろそろ本題に参りますかな」そういう師匠の優しく真剣な眼差しと「猫パンチ」と聞く耳も持たず、猫たちと戯れる先輩の温度差にはやはりついていけない。

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