初出勤

気づくと俺は寝ていたらしい。14時を指す時計はカチカチと音を立てている。とりあえず下に降りた。「やぁこれ着といて」酒臭い師匠はスーツを俺に渡した。まあネクタイが出来ず師匠に手伝ってもらったりしたが、そうして鏡で見た。「へぇ葬式屋っすか」白と黒の少しぶかぶかなスーツは俺を立派に見せた。「まぁそんなもんだ」と笑う師匠もスーツを着ていた。所々汚れている。「先生用意できましたよ」気づくと先輩が後ろにいた。先輩もかっこよくピシッと決めていた。「よしぃじゃあ行くかー」そうして俺たちはレトロなターコイズブルーのワーゲンバスに乗った。師匠が運転するらしい。あれ、さっきまでお酒飲んでたよなと思っていると車が動いた。「では今回の依頼です。依頼主の木崎様によると飼っている猫が段々と弱っていって4匹亡くなったと、そして亡くなった猫の首から上が噛み千切られているとのことです。このことから今回は妖怪、魑魅の類だろうと考えられます。特に獣系の妖怪だろうと。猫の頭を食べる妖怪ですとごんじゃ、牛鬼、蛇女などがありますが、今回は別の妖怪であると考えられます」俺が何の話か問うと先輩が続けて「今回君はいるだけでいいから何もしないで」と言った。

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