第6話 一線超えてないの?

 千尋さんが計画しているお泊り会。それを母さんに話したら反対されたらしい。


小さい頃と違って、ボクと千佳は高1だ。母さんは“間違いを犯す”可能性を考えたんだろう。その気持ちは理解できるから、ボクは文句を言うつもりはない。


でも千佳と千尋さんは諦めてないようで…。やりたいことがあるんだろうね。


その話は一旦終わり、今度はお昼に食べたお弁当に話題が変わる。



 「ゆで卵の黄身にキノコを突き刺すなんて、母さんにしか思い付かないアイディアよね」


それもだけど、咄嗟に下ネタと気付いた千佳も凄いよ…。


「ありがと♪ 昨日2人がったのをお弁当で表現したかったの♪ 咄嗟に思い付いたんだけど、これからもやるつもりよ♪」


「え? アタシ達がった?」


「あれ? 昨日一線超えたんじゃないの?」


「超えてないから! 母さんが『超えるな!』って言ったじゃん!」


千佳がボクのほうを見てきたので頷いておく。


「2人とも、本当にわたしの言いつけを守ってくれたのね。嬉しいわ~♪」


「いくらアタシでも、あんな太いチン〇を入れる度胸ないから! 昨日はで済ませたわ」


「はーちゃんのお〇ん〇ん大きいんだ~♪」


「凄かったわよ。思わず見惚れちゃった♡」


隣に座ってる千佳がボクの股間を見つめてくる。向かいに座っている千尋さんも微笑みながらボクの顔を見る。


もしお泊り会をやったら、ボクはどうなっちゃうんだろう?



 「結局、アタシ達は一線超えて良いの? 母さん?」


千佳がそう言いたくなるのもわかる。


「ダメなのは変わらないわ。気持ち良さのあまり、はーちゃんがうっかり〇出ししちゃうかもしれないからね♪」


「ゴムつけてても?」


「100%防げる訳じゃないから、用心に越したことはないわ。昨日長い時間イチャイチャしてたから、こっそり超えたと思ったのよ♪」


「なるほどね。もし超える時がきたら、ちゃんと教えるから」


「わかったわ♪ 楽しみに待ってるわね♪」


ちょっと疎外感を感じるな…。ボクはそんな事を思いながら、2人の会話を聴くのだった。



 「話が逸れちゃったけど、アタシも下ネタ思い付いたのよ」


ようやく? 話題がお弁当になるようだ。


「ちーちゃん教えて!」

千尋さんが食い付いている。


「“タコさんウインナー”あるじゃん? アレを立たせると本体と脚の間に隙間ができるから、そこにキノコを入れるのよ!」


「まるで〇乗位ね♪」


タコのエロいやり取りなんて、誰が見たいんだろう?


「キノコじゃなくても、お菓子のたけのこの〇でも良いかもね。大きさと形的にイケそうだし」


ふと思ったんだけど、キノコやたけのこの〇を本体と脚の間に入れるより、タコさんウインナーを上から被せたほうが楽な気がする。


実際に試す気はないし、大したことじゃないから言わないけど…。


「ちーちゃんは発想が柔軟ね~♪」


「母さんほどじゃないから」


? 急に2人がボクのほうを見始めた。なんか嫌な予感がする…。


「創もなんかアイディア出してよ!」


「わたし達だけで盛り上がってゴメンね♪ はーちゃんもどんどん言ってちょうだい♪」


別に言う気ないのに…。とはいえ、1コぐらい言わないとこの空気は変わらないんだろうな。


「そうですね…。マヨネーズで“ぶっかけ”っぽくするとか?」

仕方ないから適当に言ってみる。


「それ良いじゃん! 不規則に飛び散った感じにできればもっと良いわね!」


「さすがはーちゃん♪ 男の子ならではの視点ね♪」


何で好感触なの? 男女差があるかもしれないけど、このあたりのノリは未だによくわからない…。


「明日は水曜日だから、おばさんがお弁当を作ってくれる日よね」


月・水・金は母さん、火・木は千佳もしくは千尋さんが作ってくれる予定になっている。


「ええ♪ より“ぶっかけ”っぽくするために、マヨネーズを忘れないようにしないとね♪」


「うん!」


千佳はどこまで本気なの?


「千佳。マヨネーズと相性が悪いおかずだったらどうする気?」


「それでもかけるよ? かける場所を選ぶ“ぶっかけ”なんてある?」


「はーちゃん。それを訊くのは野暮♪」


ボクが何を言っても無駄っぽい。


「千佳がやりたいなら止めないけど、ボクはやらないよ?」

ノリがきついからね。


「別に良いわよ。その代わり、創がお弁当にぶっかけてよね。Hの時みたいに♡」


ボクがやるの? なんて言える空気じゃない…。


「はーちゃんはどういう風にぶっかけるのかしら? ちーちゃん、ぶっかけた後のお弁当を写真に撮ってくれる?」


「もちろん。明日見せるからね」



 こうして、明日母さんが作ってくれるお弁当にボクがマヨネーズをかける流れになった。


母さん、こんな事に巻き込んでゴメン。ボクは心の中で謝っておいた。

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