第5話 お泊り会の行方
千佳と一緒に帰る途中、ボク達の家の前の通りで母さんと千尋さんが話しているところに遭遇した。
2人はボク達に気付いた途端、話すのを止める。互いにエプロンを着けているのは、主婦のお決まりなのかな?
「こんにちは、千尋さん」
「おばさん、こんにちは」
ボクと千佳は挨拶を済ませる。
「こんにちは、はーちゃん♪」
笑顔で返してくれる千尋さん。
「こんにちは…」
母さんも返したけど、何やら反応が悪い。
「……」
挨拶後、ボクを品定めするように見てくる母さん。ボクなんかした?
「千尋さん、話はまた今度ね」
「ええ」
ボク達が来たせいかもしれないけど、今更どうしようもない…。
「母さん。千尋さんにお礼を言いたいから、そのまま千佳の家に寄るよ」
「わかった。けど、昨日みたいに遅くなるんじゃないわよ」
「うん」
母さんは家のほうに戻って行く。そして姿が見えなくなった後…。
「母さん、おばさんと何を話してた訳? おばさん変じゃなかった?」
千佳も気付いてたみたい。ボクの気のせいじゃなかったか。
「後でちゃんと話してあげる。2人にも関係あるからね」
千佳も関係あるの? てっきりボクだけかと…。
ボクは千尋さん・千佳の後に続いて、家にお邪魔する。
千佳の家にお邪魔した後、リビングに入る。ボクと千佳は隣同士でテーブルの椅子に座り、千尋さんはボクと向かい合うように座った。
「母さん、早速聴かせてよ」
千佳が話を切り出す。
「2人が高校生になった記念に“お泊り会”を計画してるの♪」
「お泊り会? 良いじゃん」
小さい頃はたまにだけど、千佳の家に泊まったことがある。両親が旅行に行った時とか、母さんの体調が悪い時とか…。千尋さんは「お隣同士助け合わないとね♪」と言ってOKしてくれたっけ。
部屋数の関係で、泊まる時は千佳の部屋で一緒に寝る事になる。ボクは布団で、彼女はベッドだ。
「でもそれを明美さんに話したら反対されたの。『高校生の男女が同じ部屋で寝るのはマズいでしょ』ってね…」
だからさっき、母さんは微妙な顔でボクを見てきたのか。千佳に手を出す可能性を考えて…。
「おばさんは、アタシと創がHしてるの知らないしね~」
“H経験済み=同じ部屋で寝ても良い”になるの?
「そうなのよね~。だから説得しにくくて…」
「思い切ってHのこと暴露しちゃう?」
「う~ん。わたしもそれは考えたけど。明美さんは真面目だから逆効果になるかも…」
それから3人で考えたものの、良いアイディアは出なかった…。
「はーちゃんとちーちゃんには悪いけど、すぐにできそうにないわ。ごめんね」
「いえ、ボクは全然気にしてません」
隣同士なんだから、日帰りでも大抵の事はやれるはず。落ち込む事じゃない。
「え~。アタシは気にするけどな~」
千佳は待ち望んでいるようだ。
「わたしも気にしてるから、余裕がある時に頑張って考えるわね♪」
「さてと、話は済んだからアタシは着替えてくるわ」
千佳は椅子から立ち上がり、カバンを持ってリビングを出て行った。
リビングにいるのは、ボクと千尋さんだけだ。
「……ふぅ」
彼女は何故か、急にエプロンを脱ぎ出した。
…千尋さんは白Tシャツを着ていて、ブラが透けている。ブラ透けを隠すためにエプロンを着けてたんじゃないの?
「昨日のちーちゃんのブラ透けに気付いたはーちゃん、すごく可愛かったからイタズラしたくなったの♪」
千尋さんらしいな。
「ちーちゃんの前では言えないけど、わたしちーちゃんよりおっぱい大きいのよ♪」
それは膨らみ加減で大体予想できるけど…。
「良かったら触ってみる? 服の上からでも良いし、生でも良いわよ♪」
こんな事を言う目的は、ボクをからかうためだ。なら毅然とした態度のほうが良いはず。
「いえ結構です」
「そう…。残念ね」
思ったよりションボリしている千尋さん。罪悪感が湧いちゃうよ…。
「創、エライ!」
千佳がそう言って、リビングに戻ってきた。
彼女も白Tシャツを着ている。まったく2人して…。
「面白い展開になってるからこっそり観察してたのよ。てっきり揉むと思ったのに…」
「千佳。もし揉んだらどうする気だったの?」
「そんな怯えた顔しなくても、別にどうもしないって」
ホントかな? 詳しく知りたいような知りたくないような…。
「それより母さん、今日の下ネタ弁当良かったよ」
千佳が話題を変えてきた。
彼女のネーミングセンスはともかく、ボクもお礼を言わないと。
「千尋さん、今日のお弁当おいしかったです。本当にありがとうございました」
「良いのよ♪ 2人とも喜んでくれて良かったわ~♪」
「食べてる時に思ったんだけどさ~」
今度の話題は下ネタ弁当になりそうだ。千佳は何を話すんだろう?
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