処方はラーメン
和泉眞弓
第1話
「普通高校、受かったら、先生、ラーメン行こ」
目ばかり大きな菜摘の瞳は、研修医の涼介に白刃を突きつけた。一瞬でも逸らせばこの子は二度と何も望まないだろう。BMI15の拒食。一時より増加したとはいえ、入院レベルだ。
親に連れてってもらえとは口が裂けても言えない。能力主義の親の前ではいつも張りつめているのがわかる。ラーメンなど、と親が失笑するだろうことも。「ラーメンをらぁめんて書く店、なんかヤダ」診察では軽口を言うが、再び登校できるかもわからない。
「——いいよ」
「え、先生、いいの?! 絶対、絶対だよ」
菜摘の顔がぱぁっとほころぶ。
そのころ僕は精神科ではないから。
涼介は、言葉を苦く飲みこんだ。
処方はラーメン 和泉眞弓 @izumimayumi
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。処方はラーメンの最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます