約束したでしょ？忘れちゃった？

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元気さんと私の所に来た“一平君”は、金曜日に私の隣に座っていた男の人だった。

元気さんと同じ歳くらいの男の人。

「どうしたの？」

「3人で社食行かない？」

元気さんが一平さんにそう言うと、一平さんは私の方を見てきた。

それに私は泣きそうになりながらも笑いながら頷く。

そして3人で社員食堂まで歩き始めた。

元気さんの向かい側に座って社員食堂の安くて美味しいご飯を食べる。

元気さんの楽しい話を聞きながら沢山笑った。

ちゃんと楽しかった。

ちゃんと楽しいご飯を元気さんと食べられた。

元気さんの隣には一平さんもいたけれど。

“2人で”ご飯に行く約束ではなかったから。

だからこれでもいい。

ちゃんと約束を守って貰えた。

元気さんは約束を忘れちゃったみたいだけど。

1年も前の約束だし、忘れちゃったみたいだけど。

あれから1年も経ったから好きな女の子が出来たようだけど。

あれから1年も経ったから私のことも忘れちゃったみたいだけど。

“忘れない”と約束もしてくれたけど、きっと忘れちゃったんだと思う。

なかったことにしているんじゃなくて、きっと忘れちゃったんだと思う。

この人は増田財閥の本家の次男らしいから、色々と大変なこともあるはずだから。

大変なことがあったから、だからきっと忘れちゃったんだと思う。