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そしてまた増田ホールディングスでの仕事が始まる。
リクルートスーツに黒いパンプスで出勤し、つい元気さんの方を見てしまった。
ティーシャツとハーフパンツ、明るい茶色い髪の毛と真っ白な肌だけは見えるけど顔は見えない。
デスクに突っ伏して寝ているから。
始業時間になってもその顔が上がることはなく、お昼の時間になってしまった。
私は席から立ち上がり、ゆっくりと元気さんの席まで歩く。
「元気さん。」
私の声に元気さんがのっそりと顔を上げた。
クッキリとした二重瞼、彫りも深くシュッと高い鼻、真っ白な肌に明るい茶色い髪。
窓から入る光りでその瞳は茶色く透き通って見えた。
そんな元気さんの姿を見詰めながら言った。
「お昼一緒に行きませんか?
社員食堂でいいので。」
私がそう言うと元気さんは困った顔で笑った。
それから視線をどこかに移し・・・
「一平(いっぺい)君!!!」
と、元気な声で“一平君”という人を呼んだ。
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