第109話 青い砂浜リゾート
翌日、私は再び無人島へ向かった。今回はフェリックス
「我らギャラガーも海の民じゃが、ここはほんに楽園じゃな」
「長い旅をして来ましたが、このような南の島は初めてです」
いや、確かにプライベートビーチみたいなとこだとは言ったよ。青い海、白い砂浜、もう完璧リゾートって言っちゃった。だけど、お二人してその見事なバディを惜しげもなく晒して、際どい水着で攻めて来るの、やめてくんねぇかなぁ。
「何だ、お嬢も着替えねェのか?」
そう言うフェリックス
アンナさんとフェリックス氏の200年前双子ペア、そして海の女グロリア様の華麗な泳ぎを堪能しつつ、私は風属性同士、ヴィンちゃんと木陰でココナッツウォーターをちゅーちゅーする。ちなみにヴィンちゃんは、
「して、アリスはここでどうするつもりかえ?」
ひとしきり遊んだ後、グロリア様からツッコミが入る。私がしたいことというのは、ここで漂流してくるヒロインを待ち、同様に流れ着くイケメンとラブを繰り広げるのを
なお、グロリア様にはこれらのことは何度も奏上してある。彼女が聞いているのは、いつ流れ着くかも分からない漂流者を、一体どうやって待つつもりなのかということだ。
私は、フェリックス氏やアンナさんに頼んで、毎日様子を見に来るつもりだった。ダメなら私とヴィンちゃんとで飛んで来る。ノーコンアバウトコンビなので、かなり迷うと思うけど。だけど、彼女が言いたいのはそういうことじゃない。
「ですよねぇ…」
私たちが現在拠点にしている洞窟は、いずれ主人公の令嬢たちが最初の棲み家にする予定だ。今回は晴天に恵まれ、
いずれにせよ、ゲームの進行を妨げないように、この浜辺から目立たない場所に監視用の拠点を建てたらどうか。彼女が言いたいのは、そういうことだった。
「と、言うわけじゃ」
「心得ました、母上」
それから10分もしないうち、デイモン閣下が連れて来られた。以前閣下に相談した時には、「執務が忙しいので後で」とスルーされたままだった。実際、閣下は子爵位を継ぎ、ダッシュウッド領内のインフラ整備で忙殺されている。奥さんのブリジットも、奥方業とユウキちゃんの育児で手一杯。そしてそれにも増して、エリオット
しかしグロリア様の要請なら、閣下は秒で駆けつける。そして、グロリア様の細かい要望に忠実に、外観は極力目立たず、しかし内装は品良く過ごしやすい
「ほほほ、息子とハサミは使いようじゃ」
グロリア・ギャラガー=ダッシュウッド。ダッシュウッド辺境伯家の最高権力者にして、実質王国の裏ボスだ。恐るべし。
なおこの要塞は、ダッシュウッド家のお忍びリゾートとして人気を博すこととなった。ここに来られるのは、自力で飛べる私とヴィンちゃん、それから光属性で界渡りが使えるフェリックス氏、アンナさん、そして彼らに連れて来てもらえる要人に限られるが、彼らは入れ替わり立ち替わり、海で遊びがてら様子を見に来てくれる。いつものおとぼけ三人組で暇を持て余していた私にとっては、非常に有り難い。
浜辺を見下ろす高台を利用した、とても人工物には見えない邸宅で。私はダッシュウッド家の愉快な仲間たちと共に、ヒロインを迎え撃つ。来年か再来年か分かんないけど、私の戦いはこれからだ!
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