第8章 愛の離島開発計画
第108話 ラブきゅん学園3♡愛の離島開発計画♡
「確かこの辺の島だったと思うんだよね〜」
あれから我ら探検隊は、世界中を飛び回った。文字通り、
イタリアのような長い半島から続く列島、その先をちょっと行ったところ。この名もない小さな島が、「ラブきゅん学園
無印の「ラブきゅん学園♡愛の魔王討伐大作戦♡」、これは
ということは、
これまでは、ゲームが始まってから、もしくはゲームの始まりを待って参戦していたわけだが、私は今回から趣向を変えた。そうだ。始まる前から着々と準備を進め、万全の体制で回収に挑む。待っていろ、ヒロインに攻略対象。勝負はここからだ。
スチル回収の準備は抜かりない。まず拠点の設置。ゲームの舞台である無人島を割り出し、ここに拠点を置いて、日々観察する。私とヴィンちゃんで飛んで来てもいいんだけど、私はノーコン、ヴィンちゃんはアバウト。フェリックス
成り行きで私の夫となったフェリックス氏。ほぼ非の打ちどころのないスパダリなのだが、如何せん高所恐怖症なのだ。気絶したイケメンのアホ面が微妙に尊い。写真撮っとこう。ダブルピースしてくんないかな。
そう、写真だ。「ラブきゅん学園
あ、後で皇国に行って、ホムンクルス学長と宰相さんに面会して来よう。渋いイケメン、小安速見ボイスが私を呼んでいる。
「ところでアリス。ここがその島だと分かったとて、一体何をするつもりなのだ」
「そうなんだよ。そこなんだよね〜」
私は木陰にフェリックス氏を寝かせて、ひとまず辺りを探検した。ここには強い魔物とかいないから、大丈夫のはず。
白い砂浜。エメラルドグリーンの海。打ち寄せる波、癒される自然音。しかしそれだけ。本当に、何も無いんである。2〜3年後、どこかしらの下級貴族の令嬢が打ち上げられるまで、一体ここで何をすればいいのか。
そうだ。彼女は何もないここで、一から拠点を作り、着々とサバイバルをしていたではないか。よし、彼女が来るまで、私もそれに
そうしているうちに気が付いた。太陽の位置が移動して、木陰に置いて来たフェリックス氏がジリジリと焼けている。ヤバい。洞窟の中には、確か真水の湧く泉があったはずだ。運び込んで冷やそう。
「…んんっ…ここは…」
冷たいハンカチを当てた途端、長いまつ毛が震えた。掠れた声、長い指、均整の取れた完璧な肢体、彫りの深い甘いマスク。くそっ、コイツマジで無駄にお色気ダダ漏れなんだよな。辺境伯家のハニトラ要員め。
「おはよ。ここが
「…あー…」
彼は身体を起こし、バツが悪そうに「悪ィ…」なんて頭を掻いている。高いところが苦手なのに無理やりついて来た彼にも原因はあるが、私だって彼の転移は当てにしていた。お互い様だ。なお、日向に放置して熱中症にしちゃったのは、ハイポーションでチャラ。気絶してぐったりしていた顔を撮影したのは、墓場まで持っていく秘密だ。黙っていれば分からない。
とりあえず、今日のところはこの島を見つけ、座標登録出来ただけで良しとする。スチル回収に向かって大きな前進だ。帰ってお茶にしよう。グロリア様が王都から帰還されて、美味しいおやつが待っているはずだ。
なお、帰ってからあっさりとヴィンちゃんに熱中症と写真のくだりをバラされ、私は側頭部にゲンコツグリグリの刑の上、写真は削除された。ヒドい。最近夫が横暴なんです。
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