第88話 抱拳礼無双
皇国で武器を取ったら、次は闇のダンジョンだ。ここは
「ふん」
ヴィンちゃんが左の拳を右の手のひらで受け止める
「ふん」ペシャリ。拾う。戻される。
「ふん」ペシャリ。拾う。戻される。
1分間に2〜3周できる。闇の腕輪、いや各属性の腕輪のドロップ率は、大体1/200程度であるが、1時間に150周くらいして、半日で腕輪が二個落ちた。このダンジョンにはしばらくお世話になると思っていたが、あっちゅう間に攻略が完了してしまった。
光のダンジョンは、もっとエグかった。彼が龍神なせいか、廃教会の祭壇で「祈る」というアクションが不要。手で何かをこじ開ける動作で、無理やりダンジョンへ侵入、「ふん」ペシャリで終了。
光の腕輪も、無事半日で二個ゲット。これでフェリックス
私は、時間が余ったら、王都の上級ダンジョンのアイススライムを狩りに行こうと計画していたのだが、どうやら不要そうだ。このスピードで周回できるなら、こちらの方が時間あたりの経験値効率が良い。
しばらくして衝撃的な事実が判明したのだが、それは何と、私抜きで周回してもらっても、大丈夫だということだ。
そして更に衝撃的な事実が判明したのだが、私とヴィンちゃん方式で、彼らも
残った私たちは、廃教会に残された奥の居住スペースで、雑談をしながら攻略ノートを作っていた。
「いよいよ自分で何もしなくても、経験値稼ぎなんてね…」
デイヴィッド様がため息をついている。彼はヒーロー願望満載で、フェリチャーナ姫に良いところを見せたいのだが、そんなことはどうでもよろしい。彼には、かつてデイモン閣下とエリオット
後は、
それにしても、話の流れから言って、今回のヒロインはフェリチャーナことアンナさんだろう。
「それなんですが、アリス様」
なんとアンナさんとカイル爺は、アンナさんの前世でご夫婦だったらしい。
「諸事情により、短い間でしたが」
「ふぉっ、ふぉっ、ふぉっ」
デイヴィッド様が、この世の終わりのような顔をしていた。どうも親密度で言えば、キールの方が100歩も200歩も進んでいるようだ。
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