第61話 学園に潜入
「えー、本日から編入となった3名の方々です」
今日から学園での生活が始まった。私たち女子3名、すなわち
皇国は、「男女七歳にして席を同じうせず」を地で行く国家である。基本共学の王国育ちからすると、ちょっと複雑に感じなくもないが、これはどっちかというと女性を守るための措置らしい。女は男に従い、家庭を守るもの、という考え方が根強く残っているこの国で、才能ある女性が学びたいと思ったら、今のところはこういう形を取るしかないのだそうだ。
しかも、ほんの十数年前までは、学園女子部とは名ばかりの、花嫁修行の場だったらしい。現皇妃が王国に留学して教育システムを学び、「男性を助けるのも妻の勤め」とか何とか言い訳をつけて、やっと男子とほとんど変わらないカリキュラムを実施できるようになった。それでもまだ女学園部には、刺繍や女主人としてのマナーなどの講座が残されている。そして世界的に共学の流れが進んでいる今、そういう「花嫁修行」の名残が、逆に人気なのだそうだ。皇国に留学した子女は、経歴に箔が付き、縁談に有利になるという。
通常、外国からの留学生は、一通りの基本的な講義を受けてから、学園内の礼拝所で、パートナーの竜を得る。ゲームでもそうだった。私たちは、事前に大体のシステムを知っていたので、先に神殿で儀式を済ませてきたのであるが、クラスメイトの肩には皆、小型の竜が鎮座している。ブリジットもセシリーも、それぞれパートナーの竜を小さくして肩に乗せているが、クラスメイトたちの肩に留まっているそれらと、彼女らのとでは、大きく様子が違う。なんというか、大きさこそ同じだが、ヒ
一方、肩に何も乗せていない私は、完全に人の輪から置いて行かれている。時々
今日は、顔合わせとオリエンテーション、
「
寮の三人部屋。ベッドにダイブし、ブリジットに駄々をこねる。
「アリスさん、ひょっとして今、ブリジットさんの方が身分が上なのでは…?」
そうなのだ。
「はいはいお嬢様。クッキーありますから、お茶にしましょう。セシリーちゃん、お嬢様にはまだ
「なるほど」
「ねぇから」
それにしても、暇だ。この学園には、娯楽がない。学外に出ようと思っても、女性だけで外を歩き回るのは、よろしくないらしい。図書室にもめぼしい本はなかったし、みんな寮で何をしているかといえば、サロンで社交、もしくは自室で刺繍である。あのゼニ
「あーあ、領都なら、超級でも回って来るのになぁ…」
「エリ君不足っス」
「まあまあ、明日からの授業、何取るか考えましょうよ」
「ブリジットだって、
「ま、ままだダダダダーリンとかそういうんじゃ!」
仕方がない。今夜は
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