第5章 愛の龍王討伐(?)大作戦
第57話 イケオジを求めて皇国へ
皇国まで、書簡を送って返ってくるのに2ヶ月半かかった。大体輸送に片道1ヶ月、皇国の中での対応に2週間。皇妃と親交のあるダッシュウッド家からの知らせということで、おそらく最優先で対応されたと見られる。遊学の受け入れを確約した上で2週間など、異例中の異例だ。グロリア様
この世界には、正確な地図は存在しない。地図自体が軍事機密だからだ。なんとなく、こっちの方向に、こんな感じの国や地域がある、みたいな。だから、皇国の正確な位置も距離も、おおよそでしか分からない。大貴族の火急の書状の運搬に、海路も込みで一日200キロくらい運ばれるとして、距離にして6,000キロくらいじゃないか、というのがみんなの見立てである。皇国は遠い西の砂漠の国、張り切ってレッツラゴー。
方向も分からないのに直線で飛ぶわけには行かないから、まずは手紙の運搬経路通りに進む。デイモン閣下のゴーレム馬車、ちょっと大きめバージョンに乗り込み、
なお、
懸念していたフェリックス
今回ゴーレム馬車を選んだのは、向こうで無駄な荷物を減らすためだ。馬車の車両を使っても良かったのだが、あっちに着いたら着いたで馬を借りないといけないし、滞在中はどっかに置かせてもらわないといけない。閣下のゴーレムスキル、マジ優秀である。今回は皇都近くの町外れに着陸し、事前に手配しておいた竜車という大型の爬虫類が牽引する乗り物に乗り、そのまま皇城まで案内された。
「遠路はるばる、ようこそ皇国へ。グロリア、久しぶりですわね」
通された広間で、皇妃自ら出迎えを受けた。流暢な王国語である。対して、グロリア様が
「久しぶりじゃ、アグネス。しばらく世話になるぞ」
と、これまた流暢な皇国語で返答する。さすが一流貴族は違う。
事前にうっすら期待していた通り、私と
ともかく、今日はこのまま皇城で宿泊。数日の準備ののち、来週からは早速皇国の学園に潜入である。イケオジが私を呼んでいる!
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