第38話 辺境伯家の男たち
後は、ダニエル様とアーネスト様だ。最初火属性の3人で戦ってもらった時には、最速のデイヴィッド様が刺しに行って、そこをダニエル様とアーネスト様がフォローする形になったが、ダニエル様なら地竜程度、剣術の初歩の
彼には今後の課題というべき課題はない。何ならこのまま何の手を加えなくとも、バランスの取れた使い勝手の良いキャラと言える。問題があるとすれば、誰でもそうだが、彼がこれからどう強くなりたいかだ。辺境伯といえば主に国境を守る軍事力の
そしてアーネスト様。
なんかさっきから、涙でぐちゃぐちゃなんだけど、この人大丈夫なんだろうか。
「うぐうう…デイヴィッド様…ダニエル様…」
二人が
彼も、固定砲台の
だけどさぁ、今回の敵は単体じゃん?じゃあ、普通もっと燃費のいい単体攻撃スキルを選ぶべきだったんじゃないのかな〜って思うんだよね。
「ファイアーボール!」
彼にも、ローブと杖の他に、剣と弓を背負ってファイアーボールを撃ってもらった。ここでミソなのは、炎の杖にファイアエンチャントを掛けること。ファイアエンチャントは、不燃性の武器のほとんどに火属性のエンチャントを付加する。なんと既にエンチャントの掛かった炎の杖にも、重ね掛けでエンチャントが掛かり、火属性のスキルをブーストできるのだ。
攻略対象をすべて攻略し終わって、その他の隠し残念エンディングを求めて周回するプレイヤーなんて、そうそう居やしない。NPCだけ引き連れて、属性武器を揃え、なおかつ属性エンチャントがかかった武器にさらにエンチャント掛ける変態など、多分何人もいないと思うんだ。私はその選ばれし一人である。
果たして計算通り、この場でレベルを上げたファイアーボールで、地竜は一撃で沈んだ。ね、みんなファイアーボールのことを「それは私のメ
「はっ…はわわ…」
アーネスト様が、ダダ泣きのまま、杖を眺めて呆然としている。学園祭でブリジットのファイアーボールの破壊力を見たダニエル様とデイヴィッド様、フェリックス
もう火属性装備はダダ余りしてるから、彼が身につけている杖とローブはそのままで、余ってるのをデイヴィッド様に。そして剣と弓もセットであげちゃおう。記念だ、取っておきたまえ。
「あっ…ああ…アリス嬢…」
アーネスト様は、そのままその場に膝をつき、杖を置いて伏せた。そして
「
と叫んだ。
アーネスト
そこにデイヴィッド様がスススとやってきて、同じように地面に伏して、「
ダニエル様は困った顔をしていたが、そのままデイヴィッド様の隣まで進み出ると、同じようにその場に伏せた。
もうダメだ。辺境伯家は、色々ダメだ。
その後は全員でファフニールをタコ殴りしてサクサクと周回、3周回ったところで夕方も遅くなったので、帰ることにした。ここにデイモン閣下がいれば、
ダッシュウッド城に着くと、グロリア様がお帰りだった。
「グロリア様、ただいま戻りました」
「おおアリス、元気そうじゃの。
「あーまぁ、今回も腕輪は出ませんでしたぁ」
「
ほほほ。
よかった、今日のグロリア様は上機嫌のようだ。正直夕飯にはちょっと間に合わなかったので、怒られるかと思ったよ。
「して…あなた。デイヴィッドと共に、いずこへいらしたのです」
場が凍った。いや、雰囲気だけではなく、物理的に。ダイヤモンドダストっていうの?空気中の水の粒が凍るらしいっていう、あの…
「い、いや。その、ちょっと、デイヴィッドに稽古を」
「わたくし、そういう冗談は好みませんの。さあ、あちらで詳しくお聞かせになって」
そういえば、初めてグロリア様にお会いした時、こんな標準語だった。標準語と言えばいいのか、貴族の奥方の言葉、みたいな。そうか、彼女が標準語の時って、相当ヤバいんだ。
「大丈夫だよ、アリスちゃん。父上と母上は、ああ見えて仲良いんだ」
デイヴィッド様はのんきに笑っている。
「さ、父上が母上に
アーネスト
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