第16話 残り一席争奪戦
「…して、そのレベルとは」
辺境伯がブリジットの言葉尻を捉えた。まあ、そうなるよね。
「父上。このアクロイド女史は、神より遣わされた預言者です。魔王の復活をいち早く予知し、ダンジョンの情報も正確無比。聖女セシリーの降臨も予言し、我らを導きました」
「彼女の不思議な権能によって、私たちは自分たちの強さを知ることができるのです」
ヤバい。閣下とエリオット
「あっあの私はそんな」
「良い良い、畏まる必要はない。我らは既にお主らの規格外な行動を目の当たりにしておる。して、現在のお主らの強さと、我らの強さとは」
辺境伯、静かだが有無を言わせない語気である。仕方ない、先ほどエリオット氏に『
名前 ダニエル
種族 ヒューマン
称号 ダッシュウッド辺境伯
レベル 105
HP 3,500
MP 2,100
POW 350
INT 210
AGI 245
DEX 245
属性 火
スキル
身体強化Lv6
剣術Lv6
槍術Lv5
斧術Lv5
盾術Lv5
ファイアエンチャントLv5
E サーコート
E 防刃プレート
E 破邪のタリスマン
E 必殺の短刀
ステータスポイント 残り 0
スキルポイント 残り 30
あー、典型的な前衛タイプの万能型だ。軽装に見えて、最低限の防具と物騒な獲物を仕込んでいらっしゃる。用意された羊皮紙に書き出して提出すると、辺境伯は「仕込み武器まで分かるのか」と目を剥いた。いや、単にステータス画面の丸写しだからね?
それにしても、要職を務めながらよくレベル上げてんなーと思ったら、この辺りは魔物も出るし、国境では小競り合いが絶えないらしい。そもそも指揮を取る辺境伯が頼りないのでは、軍全体の士気に関わる。リーダーたる自らこそが率先して己を鍛えるのだ、というのがダッシュウッド家の家訓らしい。なるほど、閣下もエリオット氏も真面目に鍛錬を欠かさないわけだ。
で、その息子たるデイモン閣下であるが、
名前 デイモン
種族 ヒューマン
称号 ダッシュウッド辺境伯次男
レベル 396
HP 10,000
MP 19,600
POW 1,000
INT 1,960
AGI 500
DEX 500
属性 土
スキル
身体強化Lv10
剣術Lv10
鋭敏Lv10
ロックウォールLv10
ゴーレム作成Lv10
ランドスケイプLV10
ストーンバレットLV10
E 布の服
E 風の腕輪
鋼の剣
鋼の軽鎧
鋼の
銀のボリュームリング(効果無し)
刺繍のマント(防寒効果弱)
アイスピック
ステータスポイント 残り 0
スキルポイント 残り 350
スキルの種子12個(計240P)使用済み
まあざっとこんな感じで。そして私たち全員似たり寄ったりである。スキルの種子は山ほど集まったが、よく使うスキルは限られていて、今のところスキルポイントダダ余り。学園卒業までに、一応取れるスキルは全部取っちゃって、使えそうなヤツは種子使って上げとくか、みたいな話になっている。
あ、辺境伯、息子にほぼ4倍差をつけられて凹んでる。お庭番のレジェンドお爺ちゃんも、いつもの「ふぉっ、ふぉっ」が出て来ない。貴賓室がお通夜のようになってしまった。ほ、ほらみんな、お料理冷めちゃうから…。
「と、いうわけでして、超級ダンジョンについて来ていただくことは構わないんですけども…」
「父上、我らの警護はご心配なく。アクロイド女史は、敵の出現地点や弱点、攻略法まで全て熟知しておりますゆえ」
「むしろ、ダンジョンについて来られる皆様の安全が心配です。我らがパーティーは5名なので、あと1名なら入っていただくことは可能ですが、それ以上は」
「ならばこの爺をお連れくだされい!!!」
庭師のお爺ちゃんが喰い気味に割り込んできた。
「この爺、恥ずかしながらこの歳で自分より強き者はおらぬと慢心いたしておりました。そんな己が恥ずかしい!一生のお願いですじゃ!ワシをまだ見ぬ高みに導いてくだされい!!」
お、おう。静かなお爺ちゃんだと思ってたら、ものすごい熱意だ。じゃあお爺ちゃんをパーティーに加えて
「待てい!爺ズルいぞ!!」
「先代よりも私を!私こそ辺境伯領を影から支える現役の!」
「聞き捨てなりませんな!こんな時こそ執事の私のスキルが皆様の快適な旅に役立ちましょうぞ!」
「お前ら!辺境伯のワシを差し置いて強くなるとか許さんぞ!ワシこそ辺境伯として」
「何をおっしゃる!辺境伯が辺境を空けるなどと!!」
「
「坊っちゃま…このアンナ、きっとお役に立ちますよ。そう、あんなこともこんなこともね…」
ヤバい。貴賓室がカオス。だから、お料理冷めちゃうって…。
「いっそもう、じゃんけんでいんじゃね?☆」
ブリジットがステーキをモリモリ食べながらつぶやく。ホントそれな。
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