第3話

私――高宮杏奈は親友である清水沙織以外に友達がいない。別にいじめられているわけじゃない。ただ単に私が自分から距離を置いているだけだ。



故に――。



「えー。清水は今日は風邪で休みだ」



つまり、沙織がいないと、私は必然的にぼっちになってしまう……というわけだ。



「…………」



先生の言葉を聞いて、私は頬杖を突きながら窓の外を見る。そこには綺麗な青空が広がっていた。



「(あ~……早く終わらないかしら)」



沙織がいないと面白くもない。学校に来る意味がないし……はぁ……



「(帰りにポカリとか買っていこっと)」



と、私はそう思った。



△▼△▼



――体育は1番嫌いな時間だ。これは沙織がいるとかいないとか関係ない。運動音痴の私にとって、体育の時間は苦痛以外の何物でもないからだ。特に嫌なのは……



「二人一組になれー」



これだ。ペアを組む相手がいない私にとっては地獄に等しい時間だった。とゆうか、今って偶数だっけ……奇数だっけ?奇数だとしたら余るよね……うわぁ、最悪。

そんなことを考えている間にも、次々とペアが作られていく。まぁ、もうしょうがない諦めて先生と組む覚悟をしようかな。



そう思っていると――。



「ねぇ。高宮さーん。ペア組まない?」



クラスメイトの女生徒が声をかけてきた。……そのことに少しだけ驚く。だって今まで誰にも誘われなかったし……それにこの女子の名前は確か……



「鈴木さん……」



体操服に刺繍された名前が無かったら危なかったかもしれない。しかし、鈴木さんは気にした風もなく、



「ねぇ。組まない?」



再度問いかけてきた。……どうせ、ペア組まないといけないんだし、ここで断ってもしょうがないわよね……。



「…いいけど」



「じゃあ決まりね!よろしく!」



そう言ってニッコリと微笑む鈴木さん。…久しぶりかもしれない。沙織以外とまともに会話するのは……と、悲しいことを思いながら鈴木さんとペアを組んだ。

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