第12話『大人の階段昇る(強制)』
第十二話『大人の階段昇る(強制)』
北への侵攻は深夜、日が変わってすぐに始まった。
森は夜行性の生物が少なくない、しかし、魔物の大半は寝る。
俺達が襲う蜂の魔物も基本的に夜は寝ている。
俺の家族のように悪魔化した生物は逆に夜を好む、無論、悪魔蜂も同様。
体表に障壁を張り念力で体を浮かせた悪魔蜂の群れ、それが羽音を立てず音も無く敵の縄張りに忍び寄る様は中々に不気味だ。
こうして敵の数少ない夜警を次々と殺していく。
悪魔蜂も活躍しているが、キッズを含む悪魔姉弟も容赦が無い。
実に楽しそうに殺す。敵以外の魔物も探して出して殺している。
俺とナウォヤは巨体を宙に浮かせた女王の両脇に抱えられて観戦。
女王は巣に居た方が良いと思うが、念力で体を自由に動かせるようになったので外に出たかったようだ。
まぁ彼女が負傷する事は無いだろうし、さり気なくお姉様が憑依して俺にイケナイ事をしているのも知っている。その点は軽く流すのが弟の正しいマナーだ(キリッ
それに、女王自身も強いし、俺が障壁を張っている、敵が近付けば両目を真っ赤に輝かせているナウォヤが瞬殺する、現に今も遠く離れた場所に居る狼を何か変な技で仕留めた……
何でしょうかあの技は……
女王の右脇に抱えられたナウォヤが気だるそうに狼を睨んだら
遠距離吸血攻撃でしょうか、とても卑怯な技ですねぇ……
これ、回避不可能なのでは……? 僕は
そんな僕の様子に気付いたナウォヤがニッコリ笑って投げキッスを撃ち込んで来ました、どこで覚えたのでしょうか、僕は再び訝しんだ……
難しい顔をしている僕をあやす為でしょうか、女王が左の乳房を僕の顔に寄せて来ます。お約束通り悪魔装束の胸元がパカッと開口。
眼前に突如出現した美乳に僕は
何故かナウォヤの念力デコピンを喰らった。
お前……障壁が無かったら死んでるぞ俺……
え、何、お前のを吸えって?
何言ってんだコイツ……
まっ平らなボディを押し付けてきた弟に困惑。
乳の取り合いと勘違いした女王がナウォヤの口に右の乳首をイン。
しかめっ面しつつ美味しそうに女王乳を飲むナウォヤ、器用やな。
って言うかお前、吸血もしてない?
口の端から血が垂れてるぞ……
驚いて女王ママンの顔を見上げる……あ、恍惚としていらっしゃる。問題無いようだ。しかしその顔はイケナイ、俺の股間が大問題になる。
その大問題を発見したナウォヤがニチャァ~と笑った。
何の笑いだろうか、僕の大問題は一瞬で小さな問題になった。
それを見ていた侍女蜂達がとても残念そうに
お前達……ペロちゃんと次姉様の仲間だな……っ!!
まったく、ポコチンを休ませるヒマもねぇぜ……
……そこの君、少しオシッコしたくなった、付き合いたまえ。
侵攻の夜はまだ続く……ウッ。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
明け方、森の東に太陽が昇る。
太陽が東から昇るのは地球と同じなんだなぁ。
敵勢力の上位者達が念力で縛り上げられた状態で冷たい地面にうつ伏せで並べられた。せめて上向きに寝かせてあげて……
女王はそいつらの顔を確認せぬまま念力で次々と首を
捕らえられた蜂達が
首を飛ばされた奴の中には二体の女王が居た、魔物蜂の世界ではかなり貴重な個体だ、通常なら一門として抱え込み兵隊を増やす卵製造機にされ生き延びるらしい。
それを問答無用で殺処分は驚愕ものだろう。
しかし、悪魔蜂となって存在が上位になった女王ママンからすれば、二体の女王はただの蜂、卵を産む大きな蜂のメス、それだけの存在だ。
兵隊はママンが産む、これはもう決まってある。
捕らえた兵隊蜂も一門に
俺に捕虜を悪魔化させる気も無いと言う。
まぁ、MPのばら撒きも広く浅くより狭く深くの方が効果的な事は分かっている。新参にMPを割くより古参を更に強化する方が良いと判断したようだ。
それに、俺かナウォヤのどちらかと女王の間に生まれた王子が、古参として強化されまくった悪魔蜂と交配して出来る生粋の悪魔蜂を女王は望んでいる。
これは悪魔になった蜂達が女王以外でも卵を産めるようになった結果、考え出された結論だろう。
一体が産む卵の数は女王に比べれば雀の涙程度だろうが、母体の数が多いからその点は問題無い。
何なら数年後の僕と侍女蜂で試してみようかと提案した事があったが、真顔のナウォヤが無言で見つめていたので「ジョークジョーク、デビルジョーク」と言って誤魔化し、同時にお試しセクロス計画は破棄された。
まぁそんな感じで、悪魔蜂を率いる女王としては野生の女王蜂にそこまで価値を
だがしかし、その無価値女王二体を殺したのは良いが、その二体が産んだ蜂が弱すぎる。悪魔蜂と比較しての話になるが弱い。
こんなもんを縄張りの外周に
俺がこの千は居そうな捕虜をテイムする価値は有るのか?
無駄な時間を消費するだけのような気がする……
女王ママンを見上げると、俺と同じ考えに至ったようだ、苦笑していらっしゃる。
「どうするママン?」
「どうしようかしら……」
「もうナウォヤの眷属にした方が早くない? 不死兵は役立つし」
「そうねぇ……ナウォちゃん殺ってくれる?」
「う~ん、どうしよっかなぁ~(チラッ」
クッ、ナウォヤがイヤラシイ流し目を向けてきた……っ!!
あれは俺にセクシャルなハラスメンツをする時の目だ……っ!!
チィッ、仕方無い……
「お、俺は、今夜、何をされても、目が覚めない、気がする」
「ッッ!! ハァハァ、それは、お疲れだねぇ、ハァハァ、ゴクリ、ママン、僕がアイツらを全員吸血蜂にしてあげるよっ、任せてっ(キリッ」
「そ、そう、有り難う(ごめんなさい坊や……」
「へへへ、構わねえさ、ファミリーの為だ……」
その日の晩、俺は大人の階段ンッホーーーッ!!!!
ちょ、ナウォ待っアッーーーー!!!!――……
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