第66話「悪口の美学」
今、NHK+でドキュメンタリー「悪口の美学」を見た。鼎談者は言語哲学者、和泉悠氏。芸人Aマッソ、加納氏。ラッパー、呂布カルマ氏。
まずは偉人たちの悪口を紹介する。
夏目漱石、妻に「オタンチンパレオロガス」といった。これ、オタンチンという言葉と、ローマ皇帝パレオロガスを合わせた意味不明な造語。
朝、起きられず、朝食をあまり準備したことのない奥さんをけなす言葉だ。
この言葉に対しては加納さんがかなり怒っている。女性を下に見て、「パレオロガスなどお前は知らないだろう」という上から目線の意味を含めた言葉に感じるという。
次は西郷隆盛が主君島津久光に言った言葉。「ジゴロであられるゆえ」。ジゴロとは鹿児島弁で「田舎者」の意味。
これが災いしてか、後に西郷は島流しにされる。
さて、哲学者の和泉さん、「悪口とは相手との優劣を表現して相手の評判を攻撃すること」だという。
さすが、哲学者、悪口の定義をちゃんと考えている。確かに悪口とは、相手をけなして、おとしめる効果がある。
最近はテレビなどで、悪口を言ってはいけない風潮があるが、「アホ」なども時代とともに、言えなくなるのではと加納さんは危惧する。
かといって、悪口がエンタメになる場面もある。カルマさんはラップでとにかく相手の悪口を言う。その時に気をつけているのが、相手に逃げ道を残しておける悪口を言うということだ。相手が言い返せない悪口は後に禍根を残す。気をつけたいところだ。
ちなみに今話題の紫式部、清少納言の悪口をかなり言っていたようで、「あの人は利口ぶっているだけ」とか、「あの人はなんでもかんでもすぐに感動して一般常識とはかけ離れている」とか日記に書いていたとのこと。
今も昔も悪口はなくならないのだなぁ。
三人の結論は、「悪口とは自分にかえってくるので、なるべく言わないにこしたことはない」ということだ。
口は災いのもとである。
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