第7話
神守クロウは空を見上げる。
すでにあたりは暗くなっていた。
「あー、じゃあ…今、何時くらいかな?」
ここで神守クロウは動音メロに現在の時間を聞いた。
携帯電話の画面を見ながら動音メロは神守クロウの質問に答えてくれる。
「…?17時ごろですが…」
それを聞いて神守クロウは脳内でしまったと思った。
「(もうそんな時間か…神様の元に帰らないと…)」
もうじき夕食の支度をしなければなら無い。
神守クロウの存在はバイトをする主夫のようなものだった。
家事や炊事、神様の身の回りの世話。
それらは全て神守クロウの役割である。
決して家事を行わなければ、神様が不服になる、というわけでは無い。
「(夕食の時間に遅れると…神様、お菓子を喰うからなぁ…折角、構築したルーティーンを崩したくない)」
神守クロウがやらなければ、神様がダメになってしまう。
だからきちんとした時間を考えて世話をしているのだ。
「そっか、ありがとう…これで、貸し借りは無しだな」
時間を教えてくれた動音メロに感謝の言葉を口にしながら、神守クロウはその場を去ろうとする。
「…え?いえ、そんな…」
動音メロの神守クロウに手を伸ばす。
だが、その手が届く事はなかった。
「じゃあな」
手を挙げて挨拶をすると、即座にその場から離れる。
常人とは思えない速度で、あっと言う間に、神守クロウは消えた。
口惜しい表情を浮かべる動音メロ。
「…ずるいなぁ」
利益を求めず、救うだけ救って去る。
それはさながら、物語の英雄のように見えた。
「…まだ、臭いが残ってる」
握られた手。
その指からは、神守クロウの汗や体臭が微かに残っている。
ゆっくりと、彼女は指先を近づけると、鼻で臭いを嗅ぐ。
うっとりと、酒に酔うかの様に瞼が落ちていく。
舌先で、自らの手を舐めていた。
「…」
そのまま動音メロはゆっくりと携帯電話の方に視線を受けた。
動音メロは、片手で携帯電話に予め登録されていた番号を入力。
携帯電話からコール音が響き渡る。
そして連絡先の相手が電話に出た。
『…な。なんで、生きてるの?メロ』
恐ろしいものを相手にしてるかのような怯えた声を漏らしていた。
「…うん、王子様が助けてくれたの…それよりも、ねえ、私を殺そうとして、…凄く悲しかったなぁ…」
その発言から察するに電話先の相手は動音メロを殺そうとしていたらしい。
『ち、違うの、これには、ワケがあって…』
「ティアラちゃん…そんな言い訳は聞きたくないの…こっちは、殺され掛けたんだがら…貴方も、社会的に殺してあげる」
恨みを込めて動音メロ電話先の相手に向けてそう言った。
動音メロ…彼女は、大手企業、『
音楽系配信者であり、楽器を通して能力を使役する能力者でもある。
彼女は、バンドメンバーから殺され掛けていた。
神様が配信をする時代、底辺配信者は配信外で取れ高を連発している。バトル、ハーレム、現代ファンタジー。 三流木青二斎無一門 @itisyou
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