第4話


ギャル。

と言うよりかは。

パンクガール、と言った所か。

その姿は、黒を基調としている。

髪の毛は、メッシュであり、黒髪に青色の筋が髪に浮かんでいる。

赤色のアイシャドウ、耳元には沢山のピアス。

蜘蛛の様な網タイツに、蜘蛛が描かれたタンクトップを着込んでいる。

素顔は、厳つい装飾品にしてみれば、かなり童顔だった。

黒のマスクをしているので、目元だけしか見ていない。

だから、その様な印象を受けた。

また、口元を見れば風貌も変わったのだろう。

だが、それを見る機会など無い。

彼女と、神守クロウは、縁など無いただの他人なのだから。


「…」


こちらを見つめている彼女。

神守クロウは彼女の左右を見た。

どうやら、怪我はない様子だった。


「…動音どっと


「え?」


神守クロウは首を傾げる。

ドット、とはどういう意味なのだろうか。


「動音、メロ…です」


それは、どうやら名前だった。

それを聞いた事で、成程、と、神守クロウは頷いた。


「あ、あぁ…俺は…って、それよりも」


名乗り出そうとして、ふと気になる事を口にする。


「さっき、配信はしても大丈夫って、どうして俺が、配信者だって?」


動音メロはこちらをじっと見ている。

神守クロウはなぜ自分が配信者である事を知っているのか不思議だった。


「何故…と言われても」


彼女は口元に手を近づけた。

と言っても、彼女の着こなしによって掌は出ていない。

萌え袖と言う恰好であるらしい。


「…私が、配信をしていると思って、顔を映さない様に立ち振る舞った、じゃないですか…じゃないと、明らかな売名行為で、炎上する可能性があります、から…」


「あ、あぁ…そうか、納得したよ」


その神守クロウの不思議そうな顔に対して。

動音メロは持ち前の洞察力で答えてくれた。

動音メロの言葉を聞いた事で神守クロウは成程と頷いた。

確かに、注意して見れば分かる事だ。

それでも…動音メロの洞察力に神守クロウは脱帽する他無かった。

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