第3話
喧噪が聞こえて来る。
何処かで、配信者が配信でもしているのだろうか。
そう、神守クロウは思った。
「何処からだ?」
配信者が居るのならば、確認はする。
同じ配信業ならば、勉強になると思った為だ。
だから、神守クロウは音のする方へと向かった。
「…ッ」
神守クロウは見つけた。
それと同時に、地面を蹴る。
確かに、其処には怪物と人間が居た。
だが、あまりにも戦力の差があった。
配信者らしき人物は一人だけ。
そして、怪物は彼女を取り囲む様に蠢いている。
武器も持っていない女性は、明らかに怪物に殺されそうな雰囲気だった。
これが例え、配信をしていたとしても、助けざるを得ない。
基本的に、
だが、神守クロウは配信を停止している。
乱入する場合を想定して、彼女の視界に顔が入らない様に立ち回る必要があった。
「行くぞ…ッ」
登録者数は僅か7名。
だが、神守クロウの実力は、底辺とは言い難い。
「奉納」
手を叩く。
それと共に、神守クロウは調伏契約を行った式神に力を得る。
式神とは、同じ力量を持つ調伏者と契約を行う事で、神の力、その一部の使用が出来る、と言うものだ。
自らの肉体に流れる生命力を式神に奉納と言うカタチで捧げる事で、その恩恵として神の力を得る。
神守クロウが契約している式神は三体。
その内の一体である、ツクモカミ系統に属する『ナイフの式神・
手の間からナイフが出現すると、それを逆手に持って、地面を蹴る。
高く跳躍をしたと同時に、神守クロウはナイフを振った。
赤く、黒い光を放つと共に、斬撃が飛び出すと、女性を囲う怪物の首筋に向かって斬撃が伸びていく。
その斬撃が、怪物に接触すると、紫色の体液を噴出させて悶える声を漏らした。
「大丈夫、すか」
女性に背を向けたまま、神守クロウは声を掛ける。
既に、最初に振った斬撃の嵐によって怪物は死滅している。
だが、他にも居る可能性を考えてナイフを構え続けていた。
「…配信はしてないから、こっちを向いても、大丈夫、です」
彼女は、神守クロウの行動を察してその様に言った。
その言葉に応じて、神守クロウは後ろを向く。
既に、怪物は居ない事を悟り、神守クロウは警戒を解いた。
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