第11話 竜血の呪い/彼女の名は
「すいません!私の名前はブリムヒルトって言います……あの、ジークを見ませんでしたか?」
俺は先程男が去っていった方向を指さす。その事に感謝をしながらブリムヒルトと名乗った女性は去って行こうとする。
俺は慌てて
「あ、あのー少しいいですか?……」
「はい?……何でしょうか」
「彼は、その……何かあったのでしょうか?……昔彼を見たことがあるのですが、どうにも姿が違うというか……」
俺は下手くそな説明をしながらも彼の見た目の変化と様相の変化を説明する
「ああ彼は……」
そう言ってブリムヒルトはとても悲しそうな顔をしながら答えてくれた
「……彼は竜を殺しすぎたのです……馬鹿な人」
竜を殺しすぎた?どういうことなのだろうか?俺がもっと聞こうとすると、彼女は
「……これ以上は私の口からは言えません……ただ、町外れにある新しい村、『ニーベルング』の方に聞くとよろしいかと……では失礼しますね」
そう言って慌ててかけて言った。
竜を殺しすぎることが何か問題があるのか?と俺は思いながらもかつてバルバロッサに言われた言葉をふと思い出していた
◇◇
「なぁジン!……あたしの血舐めてみたいか?」
「遠慮しとくよ……流石に友達の血を舐めたいとかいう異常性癖は持ち合わせてないし」
そう言うと、バルバロッサは
「だよなぁ……でもさ〜知ってるか?竜の血ってのはな……浴び続ければ不死身になれるって言うらしいぞ?……だから”
確かにそんな英雄を俺は知っている。ジークフリートやシグルズのような英雄のことだろう
「でもよぉ〜こんな血を浴びるって相当馬鹿野郎だぜ?……だって」
そう言って垂らした血をピッ!とそこら辺に撒き散らす。するとその撒き散らされた当たりが轟々と燃え上がり、そうしてあっという間に辺りを焼き焦がした。
俺は驚きながら、バルバロッサに呟く
「……もし俺がその血を舐めていたら大変なことになっていなかったか?」
……?何をあ、そうだったみたいな顔をしてるんだ?おい?誤魔化すな?……そんな可愛らしいポーズしてもダメだぞ?
◇◇◇
「ああ、そういえば知り合いの竜に教えてもらったんだが……竜の血は人が触れるとその身を焼き焦がすらしいぞ」
俺はニクスにそう説明したのだが
「へーちなみに神様の血って舐めると死ぬよ?……そもそも神様の血はアンブロシアとネクタルの入り交じった明らかに人間抹殺用の血だし」
その割にここまでの旅路で怪我したら普通の血を流してなかったか?
俺がそう突っ込むと
「そう!私は神としての権能を失っただから神様としての血を失ってる……まぁ力を取り戻せばちゃんとすごい血になる!」
なんか楽しそう。それはともかく
「成程……待て?ならさっきのジークとか名乗る男はやばくないか?」
そう、結局そこなのだ。彼は竜の血を全力で浴びてしまっていた。先程倒した竜の血だって全力でその身に浴びせられていたし
もし仮にここまで見てきたあの焔が全て彼が倒した竜、及び竜の血が燃えたものなら彼は……
俺の推測が正しければ、彼はもう既にその身が竜になっていると考えざるを得ない。
俺はラパスノアとの会話を思い出していた
◇◇
「ああ、竜殺しについてか」
ラパスノアと狩りをした後のこと、俺は竜を殺すものはいるのか?と質問したことがある
「まぁ結論から言うとだな……可能ではある……正し、それにはある種の呪いが付きまとうだろうがな」
呪い?と俺は幼いながら聞く
「ああ呪いだ……そもそも我々竜は生態系における頂点の存在だ……基本的に狩る対象ではない……」
そうなのか?と俺は聞く。確かに竜は強いしかっこいいけど、そこまで強いのか?と
ラパスは苦笑しながら答える
「まぁ確かにお前にはあまり強いところを見せていない気がするが……まぁいつか見せてやろう……それはともかくだ」
ラパスはそういった後続けて
「竜は基本的に倒されることがない、それ故にその肉体には様々な魔物の消滅時の想いのようなものを体に染み込ませてしまう……それは年月をかけて竜の血と馴染み、そうして竜の血は幾千幾万の魔物の最後のあがき……もとい命の散るときの叫びを宿す」
俺はそのスケールを想像出来なかったが、それでもすごいことなのだろうと俺は思った
「そしてそんな竜を殺すと必然的に体内の竜血はその呪いを解き放つ。……基本的に竜を殺した奴にその呪いは押し寄せる形になる……まぁ私もこれは聞き伝いなのだがな」
そう言ってラパスはため息をついて
「まぁ心配はいらない……私はお前が生きているうちは、そうだなそんな悲しいことにはならないと約束しよう……なぁに……我々竜を殺せるものなどどこにいるというのだろうか?」
◇◇◇
もしあの時のラパスの言葉通りなら、あのジークと言う男には様々な竜の血もとい呪いがかかっているはず……それを受け流しているわけが無い……ならば
俺は結論を出す
「あの男はおそらく竜そのものだ……と」
彼が竜ならばそれだけの呪いを受けても耐え切れるのではないか?と言う俺なりの考察なのだが果たして
「まぁ間違ってないと思うよ?……あれは最初に言った通り……ただの嫌悪する物に近づいた物だろうしね……」
俺はとりあえず、もっと詳しい情報を集めるべく近くのニーベルング村に向かうことにした
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