第三十一話 龍と姫の結婚式〖後編〗

結婚式当日(式場にてリハーサル中)


「なんでバイス様が神父なんですか…」


「いやぁ〜君達の契りを私自ら見届けたくてね♪」


今私は結婚式のリハーサルをしている。勿論隣には愛する祈織もいるんだけど…目の前には私の叔母で私達を気に入ってるバイス様がいる。自分から志願したらしい。ここまで本気だったとは……


「バイス様とは一度じっくりお話してみたいな。こんなにわたし達を気に入って下さってるし」


「お!いいね!今度、君達の惚気話聞かせてよ。私、君達の話に凄く興味あるから」


あのー今、結婚式のリハーサル中だよね?なんか2人で話盛り上がっちゃってません??


「バイス様、今はそのぐらいにしといて下さい。祈織もね」


「龍耶もしかして…やきもち妬いてる?」


「ほぉ〜龍耶がやきもちを妬いてるとな?」


私は顔に出てたのか…やきもちを妬いてたみたいだ。まぁそうだろう。結婚式リハーサルとは言え愛する人が目の前で他の人と仲良く話しているのだから。そんな私を見ていた祈織が私にくっついてきた


「大丈夫だよ龍耶。私は貴女しか見えてないから」


「ずるいよ祈織。そんな目で見つめられたら我慢出来なくなっちゃう」


「だーめっ♡それにこのリハーサルが終わったら本番だからね」


「キミはいつもそうだ。そうやって私を誘う…祈織、今日は寝かせないから覚悟してね」


「はーい♡」


私達はお互い見つめ合いながら甘いやり取りをしていた。バイス様が私達を見ながら微笑んでたのは言うまでもない。



数時間後…。結婚式本番


私は純白のタキシードに腕を通し姿見でおかしい所がないか確認していた。その隣にはシオン母さんと愛龍母さんがいる。シオン母さんは私のタキシード姿を見て綺麗な翡翠色の瞳に雫を浮かべていた。


「龍耶がついに祈織と結婚するのね…嬉しい気持ちもあるけどお母さん少し寂しいな」



「シオン母さん、この世に産んでくれてそしてここまで育っててくれてありがとう。シオン母さんと愛龍母さんがいなかったら私は祈織に出逢う事も出来なかったし祈織に恋をして祈織を愛する事も出来なかった…母さん達に凄く感謝してるよ。本当にありがとう。これから私は私の家族を作っていくから見守っててね。」


この世に産んでくれた事。育ててもらった事。祈織に出逢えた事。シオン母さんと愛龍母さんへの感謝の気持ち。私と祈織のこれからの事を伝えた。


「りゅう…こんなに良い子に……」


「シオン母さん…泣かないで。綺麗な顔が涙で濡れちゃうよ。シオン母さん本当にありがとう」


私はシオン母さんの瞳から雫が流れてるのを指で掬い上げ。愛龍母さんにシオン母さんを預けて愛龍母さんはシオン母さんを優しく抱きしめた。シオン母さんが落ち着くまで愛龍母さんが抱きしめていた


「シオン母さん落ち着いた?そろそろ祈織の着替えも終わる頃だからもう少ししたら向かおうか。愛龍母さん」


「うむ。祈織の方も家族水入らずだろうしこっちと同じ状況だろうからな」



私と母さん達は祈織達がいる部屋に向かった。


──────────────────────

私は祈織がいる部屋をノックした


コンコンッ


<は、はい。どうぞ>


中からは私の愛する祈織の声が聴こえた。緊張してるのか声がいつもより上擦っていた。


「祈織準備は終わっ……」


私は祈織のウェディングドレスを姿を見て見惚れてしまった。顔はメイクで綺麗に整っていつもより増して可愛くて私が選んだプリンセスラインのウェディングドレスとマッチして祈織の可愛さと美しさをより一層引き立てている。私の目に狂いは無かった。心で自分にガッツポーズした。流石私だ


「龍耶…変じゃない?大丈夫?」


祈織は私を見て不安そうにこちらを覗き聞いてきた。不安の声で…。私はその不安そうな祈織に勇気づける様に私が本心から思ってる言葉を紡いだ。


「全然変じゃないよ。凄く素敵だよ。私の祈織がこんなに綺麗なんだもん。ウェディングドレス姿の祈織も私は好きだよ」


「えへへ♪ありがとう龍耶♡」


祈織は安心したのかホッとした溜息と共に緊張が解れたのかいつもの祈織に戻ったみたいだ。そんな祈織は私のタキシード姿を見て頬を紅く染めて言葉を紡いだ


「タキシード姿の龍耶も格好良くて素敵だよ。大好き」


「ありがとう祈織♡」ニコッ


私は笑顔で祈織に感謝の気持ちを伝えた。その様子を見ていたコール様がチャペルに向かうよう私と祈織に伝える


「それじゃ行きましょうか。今日の主役のお二人さん♪」


祈織に私は手を差し出した。


「はい。行こう祈織」


「うん!」


────────────────────────


私は祈織の入場を神父・バイス様の前で待っていた。


<新婦入場>


その言葉と共に扉は開かれた。祈織はコール様と共にバージンロードを歩き、私の元へとゆっくりした歩みで近づいてくる。その姿は誰もが見惚れる程に美しい…。この絶世の美女は私の嫁なのだと。


─────────────────────────

私の隣に来た祈織と私は神父・バイス様に体を向けた。バイス様は言葉を紡いだ



「新郎龍耶 あなたは祈織を妻とし
健やかなる時も 病める時も
喜びの時も 悲しみの時も
富める時も 貧しい時も
これを愛し 敬い 慰め合い 共に助け合い
その命ある限り真心を尽くすことを誓いますか?」


「はい。」


私はバイス様の言葉に〖はい〗と返事をした。続けてバイス様は祈織に言葉を紡いだ



「新婦祈織 あなたは龍耶を夫とし
健やかなる時も 病める時も
喜びの時も 悲しみの時も
富める時も 貧しい時も
これを愛し 敬い 慰め合い 共に助け合い
その命ある限り真心を尽くすことを誓いますか?」


「はい。」


祈織も私に続けて〖はい〗と返事をした。バイス様は更に言葉を紡ぐ


「それでは両者指輪交換と誓いのキスを」


私は祈織の左薬指に指輪を通し祈織は私の左薬指に指輪を通した。祈織のベールを上げお互い見つめ合い…そして唇を重ねた。


私と祈織は数秒…唇を重ねお互いを確かめる様に目線を外さず唇を離した。正直もっとしていたかったがまだ式の途中だ。この続きは後のお楽しみにしよ。この後私と祈織は皆へ幸せのお裾分けとして花ブーケを投げた。そのブーケを取ったのは…これは後日お話しよう。私達は正式に夫婦…いや、婦妻となった

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