第三十話 龍と姫の結婚式〖前編〗

「まさかこんな急ピッチに事が進むなんて…」


「急すぎるでしょ。聖霊魔族ってマイペースというかおっちょこちょいというか」


「祈織ごめんね?本当はムードを考えて式挙げたかったんだけど」


「仕方ないよ。わたしはどんな状況でも龍耶と結婚できるってだけでも嬉しいもん。わたしだけの龍耶になるって思うとね」


流石我が嫁…いやまだだった。でも理解力がある女性で安心した。それと祈織さん前以上に独占欲強くなってない?気の所為?


「そっか。祈織ってほんと私の良き理解者だよね。誰よりも私の事知ってるし誰よりも私の事大好きだし」


「当然でしょ?初めて出逢ったあの日からずっと龍耶だけを見てきたから…世界でただ一人の龍耶の大切な人になりたかったんだもん。龍耶に嫌いって言われた時は凄くショックだったんだからね。最初は素直じゃないとはいえ…。諦めかけていたしわたしじゃダメなのかなって思ってた。でも諦めなかったから今こうして貴女と…龍耶と一緒いられるんだもん。これからもずっとね」


あぁ…なんてこの女性(ひと)はこんなに可愛いんだろうか。私は祈織を好きになって良かった。改めてそう思った。祈織には私が必要な様に私にも祈織が必要なんだ。私はキミを離さないし離したくない。そうこれからもずっと


「それで龍耶?」


「なに?」


「結婚式の件もそうなんだけど聖霊魔族王即位の儀式はどうなってる感じ?」


「んーまずは結婚してかららしいのよ。それで今、祈織に似合うドレスを探してるって感じだよ」


そう。私と祈織は只今、結婚式で着るウェディングドレスを模索中である。祈織の希望で私のはタキシードだけどね


「これなんかどうかな?祈織に似合いそう」


「あ!これいい〜♪わたしこういうの好き!」


私は祈織に似合いそうなドレスを見せた。プリンセスラインでふわふわした感じの普段の祈織を彷彿させるような作りのウェディングドレスだ。


「試着してみたらどうかな?祈織なら絶対に似合うと思うよ」ニコッ


「うん!」


「すみません。こちら試着したいのでお願いできますか?」


<わかりました。少々お待ちください>


「祈織、キミが着てる姿楽しみに待ってるよ」


「もっと惚れさせちゃうからね♡」


「これ以上キミに惚れちゃうのか。悪くないな♡」


「ばーか//////」


<お待たせ致しました。こちらへどうぞ>


私と祈織は二人の世界に入りそうだった所を店員さんの言葉で止められた。危なかった……


「それじゃ龍耶。またあとでね♡」


「うん。またあとで」


私は祈織が試着するのを待つ事にした。タキシードは試着しないのかって?それは当日までお楽しみに♪ふふっ


〖数時間後〗


「祈織。入るよ」


私は試着を終えた祈織から入っていいって言われたので中に入った。その瞬間私はこの世のものとは思えないほどの景色に見惚れた。そんな私に祈織は……


「りゅう…どうかな?」


「あぁ…とても似合ってる。綺麗だよ祈織」


今でもこんなに美しいのに当日はメイクをしたりして更に綺麗になるんでしょ?私の祈織やばい…私、前世でどんな徳積んだのよ


「りゅうありがとう♡えへへ♪」


「どういたしまして♪」ニコッ


私達は式の日程を急速に決めた。早く結婚したくて堪らなかったから。主に私が。勿論祈織もだけどね

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