第二十九話 初代聖霊魔族の王ー龍と姫の決意ー
私と祈織はとある場所に来ている。
「龍煌おばあちゃん、昨日ぶりだね」
「おー龍耶か。それに祈織も」
「あの時の綺麗な女性って龍耶のお祖母様だったの!?聖霊魔族恐ろしい…」
祈織は龍煌(りゅうき)おばあちゃんの顔を見て1週間前に会った綺麗な女性が実は1000年以上も生きてる初代聖霊魔族の王だったとは思っても見なかったらしい。そりゃそうだ。人間の姿で愛龍母さんとあまり変わらないのだから
「それでおばあちゃん。用事って言うのは?」
「そうだった。龍耶、お前は聖霊魔族の王になる決意をしたと愛龍から聞いてる。それには契りが必要なんじゃが…その心配は要らなそうだな。祈織の体内からお前の魔力がひしひしと伝わってくる。内面上の契りは終わってるみたいだな」
そう。龍煌おばあちゃんが言ってる通り…聖霊魔族の王になるには内面上。伴侶になる女性に自分の魔力を分け与えるという聖霊魔族の暗黙の了解(ルール)があるのだ。それは生涯共にどんな時も生きる証である。これは龍煌おばあちゃん…聖霊魔族そのものがこの世に誕生した時からあるもの。
「おばあちゃん的に祈織はどう?私がこの世で生涯共に生きたい・この女性(ひと)だけは何があってもどんな事があっても守ると思ったただ一人の大切な女性だよ」
「龍耶…そこまで思ってくれてたんだ」
「私はあの日誓ったんだ。私は祈織じゃなきゃ嫌なんだ。祈織が良いんだよ。私は祈織が大切で大好きで愛してる。キミへのこの想いはどんな強大な敵だろうが神様だろうが壊せないから」
「龍耶ありがとう。わたしも龍耶がいい。龍耶じゃなきゃ嫌。龍耶がこの世にいるからわたしは生きていけるし幸せにいられるの。貴女だからわたしは私でいられるの」
「こちらこそありがとう祈織。キミの想い凄く伝わったよ」
「うん!」
私と祈織は共に思ってることを伝えあった。最初はお互い素直じゃなかったのにこんなにお互いを思っていたなんて…私達ってほんと似た者同士だね。私は祈織が大好き。うん!
それを見ていた龍煌おばあちゃんは…。
「うむ…合格じゃな。お互いがお互いを思っている。聖霊魔族は愛に生きる種族。龍耶も祈織もお互いを愛している。素晴らしい。そう思うじゃろ愛龍にシオン…それにコールにグラスよ」
「ふむ!まさか二人共がこんなに思っていたとはな。かっかっかっ!!」
「知ってはいたけどりゅうがこんなに姫様を思っていたなんてお母さん感動しちゃった…」
「グラス…見た?龍耶がこんなに祈織の事思っていたって最初から分かってればあんな事しなかったのに…龍耶ごめんね?祈織を頼んだわよ」ホロリ
「えぇ。見ましたよコール様…なんて素晴らしいの」
ちょっ…シオン母さんとコール様は私の事どう見えてたの??コール様、そこまで負い目を感じてたんですか!?寧ろこっちの方が謝らなきゃですよ!!!ふと後ろから知ってる声が聞こえた
「おぉ!!龍祈合格したみたいだね♪私は凄く嬉しいな〜♪」
バイス様が足を組みながら木の上から見ていた。蛇ですね。流石白蛇様…てか龍祈(りゅういの)ってなんですか
「バイス様いたんですね」
「そりゃいるさ。ここがホームだからね」
「それもそうですね。ところで龍祈(りゅういの)ってなんですか」
「説明しよう!龍祈(りゅういの)とは龍耶と祈織の二人を表す言葉だよ。因みに私の推しだ」
「はぁー左様ですか」
「龍耶、バイス様って結構変わってるよね。でもわたしと龍耶を推してるのはセンスあると思う」
私がバイス様に疑問を投げかけたらそれに応える様にバイス様自ら説明してくれた。姪っ子とその彼女…嫁を推す叔母も中々珍しいと思う。祈織は祈織で満足気で満更でもない顔してるしそんな祈織も可愛いなぁと
「それでだ。龍耶に祈織よ」
龍煌おばあちゃんは本題に入る為に言葉を紡いだ
「聖霊魔族王になる為にもう1つ条件がある…」
「条…件?」
「それはの……」
私と祈織は唾をゴクリと飲み込んだ……
「結婚じゃ」
「結婚!?いや今すぐにじゃないけど結婚するけど」
「それがのぅ龍耶よ。今すぐに結婚しないといけないんじゃよ」
「んなっ!?まさかの今すぐに……」
「すまんのぅ〜〜」
これはおばあちゃんの方が上手だった……
てか愛龍母さんもバイス様も知ってたよね??なんでそれを先に言わないのかなぁ
「という訳だから祈織。今すぐ式に取り掛かろうか」
「仕方ないなぁ…聖霊魔族はおっちょこちょいさんなんだね」
「それは否めないわ」
私達は結婚式+聖霊魔族王即位の儀式の準備に取り掛かった
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