第二十四話 姫と聖霊魔族王後継者

「それで二人に来てもらったのだが…」


私と祈織は愛龍母さんの妹である白蛇様もとい…バイス様に呼ばれて今、バイス様の御自宅にいる。


「バイス様…?」


「どうした祈織?そなたの口に合わなかったか?祈織の体質は少々人間寄りだったな」


「いえ。飲み物も食事も美味しいです。何故にわたしまでお呼ばれしたのか未だに分からなくて…軽く志帆には聞きましたけど」


「ほぅ…そういうことか。うむ…ならば応えてあげようではないか」ニコッ


「バイス様の笑顔初めて見た…」


「祈織はバイス様と面識あるとしてもあの事案以来だものね。」


バイス様はやはり愛龍母さんの妹だなって思った。どんな時も優しく気遣いができる。この人も人たらしなのでは…という気持ちも湧き出たがそこは言わないでおこう。愛龍母さんの為にも。


「本題に移っても良いか?」


「はい。」


「私が祈織を呼んだ理由は…」


「呼んだ理由は…?」


「君を気に入ったのと私の姪である龍耶の魔力を取り込み正式に龍耶の嫁として受け入れた事を私自らが祝福する為に呼んだのだ。どうだ、驚いたか!ふははははは」


「んなっ!?!?私が正式に龍耶の嫁にッッ!?!!!///////待って!!!色々と情報量が多いです!!バイス様!!!!」


あーそう言えば昔に愛龍母さんとバイス様が私を挟んで将来の嫁の条件を決めてたなぁ…。コール様とは違うけど似た様な事を。いやまぁ確かに私の魔力を受け入れられる人は滅多にいない…というかいないに等しいからそうなるよね。

まさか祈織がその器を持っていたとは。そう私が思ってるとバイス様の声色が真剣味を帯びた感じになった


「それにだ、龍耶は直々聖霊魔族の王となる。つまり…姉上や私が引退するという事になる。なーに、王になるとしても今まで変わらんよ。君達は君達で幸せに暮らしてもらっても構わないさ」


バイス様がそういうと今度は祈織が真剣味を帯びた声色で告げた


「バイス様。龍耶はその事知っているんですか?まさか、バイス様ご自分でお決めしてませんよね?もしご自分でお決めしたのならわたしは……」


祈織は真剣な声色に更に力を込め少々怒りを帯びた口調になりそのまま言葉を紡ごうとしたその時私は


「祈織。心配してくれてありがとうね。その事なら私は承諾済みよ。それに愛龍母さんもバイス様もそこまで若くないの。時が来たらそうなると決めてたからね。それと聖霊魔族の王だからって今までの暮らしがお終いになるとかは無いから安心して」ニコッ


「でも…それじゃ龍耶が大変に…」


「そこは安心してくれていい。私も姉上も引退したとしても陰ながらサポートするつもりだよ。もし君達に子供ができたとしても私や姉上達も協力する。要は人間との架け橋として君達が適正なんだよ。これ以上争いが起きて欲しくないからね」


「そういう事だから。祈織?」


私は祈織を諭すように目を見つめながら申し訳なさそうに髪を優しく撫でた


「もう…。コールお母様もバイス様も愛龍様も龍耶も自分勝手なんだから」


「ごめんね祈織?この世界を守る為に私達聖霊魔族が頑張らなきゃだから」


「わたしも。でしょ?」


「はは…そうだった。キミは私の大切なお嫁さんだもんね」ナデナデ


「私達でこの世界の平和を守ろうね♪祈織」


「うん!その前に先ずは蛇女を手駒に取らないとね。あいつにはビシバシと働いてもらわないとね」


「あーっはっはっは。祈織、ほんとキミ面白いね!龍耶が気に入るのも分かるよ〜。それとあまり働かせすぎないようにね。ああ見えてベリンダ、打たれ弱いから」


バイス様は祈織の発言に腹を抱えながら笑ったがベリンダの親として祈織に助言をした。やっぱり親なんだなぁと


「バイス様がそういうのならそうなのでしょうから心に留めておきますね。ですがサボりそうになったらビシバシと言いますので」ニコッ


祈織らしい返答でバイス様は更に笑っていた。バイス様は昔っからよく笑う人だ。愛龍母さんもよく笑う人だし聖霊魔族はよく笑う人…いや聖霊が多いのかな?本来の姿のコール様もよく笑うし。私はそんな事を思いながら二人を見ていた

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