第十四話 魔力全解放阻止と約束
『お姉様ぁ♪ふふっ♡』
『…私にベタベタしないで。あなたには興味無いの』
『まだあのワガママお姫様に未練がありますの?』
『未練も何も私は今でも祈織の事を愛しているわ。でも……』
『へぇ…。でもお姉様はあの姫様を裏切った。そうでしょ?だってこうして私の所に…』
『それは違うわ。私は祈織を裏切ってない。それにあなたが私の所に勝手に来たんでしょ?』
『姫様から逃げてるのに?』
『それは……。』
私は祈織から逃げてる訳じゃない。そうあの子が悲しむ姿を二度と見たくない。ただそれだけ…。祈織、あなたは今何をしているの?
何も言わずに去った私を憎んでいるの?
祈織……。
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『あっ…龍耶の匂い…。』
『祈織って時々犬みたいよね。シオンもそう思わない?はぁ…うちの長女は鼻が利くとは言うけれど流石に野生じみてる気がする』
『確かに…少々野生じみてますよね。』
わたしは龍耶が通ったであろう道をお得意の嗅覚で追っていた。ん?野生動物みたいだって??失礼ね!わたしは龍耶の匂いが大好きなだけ!!とまぁそんな事言ってる場合じゃない。わたしの嗅覚が正しいならこの近くに龍耶がいるはずッ!!自分で勝手に決めて1人で抱え込んでる誰よりも優しいあのバカに愛のムチを叩き込んでやるわよっ!
『さーて!みんな!あのバカ所に行くわよっ!!』
『愛龍…ごめんね?うちのバカ娘が…迷惑を』
『コール。祈織は良い子だな。それに言うならうちの方がバカ娘だぞ。こんなに良い娘に愛されてるのにな』
『愛龍。確か貴女、祈織を気に入ってますものね。この世を統べるあの聖霊魔族の王である貴女が自分の娘…龍耶の嫁にうちの祈織を選んでますものね』
『あぁ。彼奴には祈織みたいな娘が1番だからな。龍耶は自分1人で抱え込む癖がある。それを断ち切る為にも祈織のあの性格が合っていると私は思うぞ』
『それもそうね。娘の事をちゃんと理解してるのも貴女らしいわね。私も祈織を信じてもっと理解しなきゃね』
『今のコールなら大丈夫だ。私が保証しようぞ』
『ありがとう。愛龍』
愛龍様とコールお母様が何故だか友情を深めていた。それと!愛龍様がわたしを龍耶の嫁に受け入れる気満々なのは初めて聞いたわ!!親公認って事よね!?嘘っ…!!やだ嬉しい〜♡えへへ♡と…また話が脱線するところだったわ。危なっ…!!そんなわたしに愛龍様が話しかけてきた
『祈織よ。龍耶の匂いはどうだ?』
『はい。そろそろ本人がいる所に着くかと…な、なにあれ…。なんであの蛇女までいんのよ』
わたしは龍耶がいる場所に着くと同時にこの世でもっとも見たくないあの女が龍耶にベタベタしてるのを見てしまった。当の本人(龍耶)はめちゃくちゃ嫌そうにしてるけど…。あれ?龍耶、なんか怒ってる?わたしに対して…じゃないけど。わたしは自然とポロッと龍耶の名前を口に発していた
『りゅ…』
『あら、来ましたのね。ワガママお姫様。お姉様はこの通り、私の所に来ましたのよ♪貴女を捨ててね』
これは蛇女からわたしへの牽制だ。というか喧嘩売ってるのね。分かったわ。買ってやろうじゃないッ!!あんたなんかに龍耶は渡さないから
『さっきからネチネチと相変わらずうるさいわね。少しは黙ったら?それとも何?喋ってないと死んじゃうの?超笑えるんですけど…クスクス』
『貴女こそお姉様に嫌われてるのお気づきになってないなんてお可哀想に…クスッ』
『はんっ!あんたと一緒にしないでくれる?わたしがいつ・何処で龍耶に嫌われたって??全く何も分かってないのね。龍耶はわたしのことが大好きなのッ!嫌われてるのあんたの方よベリンダ!!いい加減自覚しないよ!!』
『はぁ〜??何言ってますの?私はお姉様に嫌われてないですわよ?ね、お姉様♡』
『…はっ?ベリンダ何言ってるの』
『ウソですわよね〜っ!?』
『いつ私があなたを好きって言ったのよ。私が好きなのは…』(祈織を見つめる)
えっ!?龍耶から凄く熱い視線を感じる〜!!やだもう♡みんなの前でそんな熱い視線向けないでよ龍耶ぁ♡
『とにかく私はベリンダの事は好きじゃないわ』
『ふふふ…お姉様ったら、そんな事言いつつ私の事好きなんですから♡』
ちょ…なんかあの蛇女から邪悪な魔力感じるんだけど…まさかッ!!わたしは咄嗟に龍耶に言い放った
『龍耶ッ!!今すぐそいつから離れて!!そいつ、龍耶を自分の思い通りにしようとしてるのッッ!!!』
『えっ…?祈織…ッ!!ガハッ…』(魔力が強制的に上がっていく)
『龍耶ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ』
『祈…織…。あなたは…今すぐにこの場から…逃げて……あなたまで…祈織まで殺してしまうから』
『嫌だっ!!せっかくあなたを探し出してあなたを見つけたのにッ!!!』
わたしは魔力の強制解放で見る見る内に変貌していく龍耶を見ながら必死に会話を続けた。せっかくあなたとまた出逢えたのに…
『あぁ〜〜!!お姉様♡変貌していく姿素敵ですわ♡このまま擬態化魔法を…』
『そうはさせないんだから!!!』(全力疾走)
『くっ…!!あなたはなんで毎回邪魔しますのッ!!!私とお姉様だけの世界を創るんですのッッ!!!』
『いちいちネチネチとほざいてんじゃないわよッ!!!あんたこそ毎回わたしと龍耶の邪魔してッッッ!!!今回は絶対に許さないんだから!!!!龍耶!!!今助けてあげるから待っててッッッッ!!!』
『が…ァ…祈…織ぃ……』
わたしを蛇女を躱して全力疾走で龍耶の元にかけて行く。龍耶の髪は徐々に茶色から銀色に変わっていく…大丈夫だよ龍耶。魔力全解放完了する前に絶対に助けてあげるからね!!!!別世界の龍耶とも約束したから!!!
『龍耶ッ!!!わたしのところへ来て!!!』
『で…でもっ…くッ…ア゙ア゙ッ……』
『あなたが苦しそうな姿は見たくないの!!!はやくッ!!!わたしの手をッ!!!』
『い、祈織…!!!』
>>>パシッ
わたしと龍耶は手を繋いだ。そしてわたしは龍耶への唇にわたしの唇を重ねた
『…………!?!?!?』
龍耶は驚いたのかさっきとはうって違って魔力が徐々に下がっていく。そう、わたしがとった行動とは…龍耶の莫大な魔力を多少なり自分に注いだのだ。これで肩代わりが出来た。
あなたが魔力全解放しない為には誰かが肩代わりをする必要があったから。最も最適なのがわたしという存在であると別世界の龍耶から聞いていた。ありがとうね別世界の龍耶。
『くっ…!!お姉様……』
蛇女は自分の計画が阻止されて悔しがっていた。ざまぁないわね。これがわたしと龍耶の愛の力よ!!!
『龍耶…?大丈夫??』
『祈…織?えぇ…。それにごめんなさい。あなたが悲しむ世界が許せなくて…何もかも破壊してしまったらもう悲しまなくて済むと思っていたけど違っていたわ。あなたにとって大切なものは私だったのね。1人で勝手に思い込んで勝手に失望して』
『本当にね。1人で抱え込むのは龍耶の悪い癖だよ?1人で抱え込んで取り返しのつかない事になる前にわたしに頼って欲しいかな。わたしはあなたの為にいるんだから。それにわたしは龍耶がいない世界なんて嫌なの。だからね?』
『うん。約束する』
『絶対にだよ?龍耶』
『うん。絶対に』
わたしと龍耶は絶対に切れない…破れない約束を交わした。
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