第十三話 逃走と決意

「あーもうっ!!何処に行ったのよッ!!あのバカ!!!愛龍様、シオン様見つかりました?」


「すまない…」


「ごめんなさい。見当たらないわ…」


「ったくあのバカ…1人でまた抱え込んで勝手に決めたんだから」


わたしはあの後、龍耶が何処か遠くへ行ってしまう予感がして目が覚めたのだが。時すでに遅しで…前に””とある人物””から教えられてたのをふと思いだし今現在の状況に


「この事だったのね…。それに龍耶が何か言ってた気がする。わたしが悲しむ世界なら壊すとか…。まさかっ!!愛龍様!お母様達を招集してください!!」


「あぁ、了解した。シオン、お前も手伝ってくれ」


「かしこまりました愛龍様。姫様…いえ、祈織。龍耶が何かしようとしてるのよね?」


「はい。わたしが前にとある人物と念話した事あってその人物曰く、取り返しがつかない事をしでかすみたいなのでその時は全力で龍耶を止めてくれと。龍耶本人にも言われたので」


「そう…。その人物って…」


「それは後々お話致します。シオン様」


「分かったわ。とりあえず皆を呼びましょう」



〖とある城の一室にて〗


「改めて集まってもらったのは龍耶が逃走したのと…とある人物の事」


「それでりゅうちゃんは見つかったの?」


「ううん…。龍耶はまだ見つかってない」


「そうなんだ…。」


「それで…とある人物って誰なの?祈織」


「うん。そのとある人物って言うのが……」


わたしはとある人物の事を言い淀んだが

これは世界の存亡に関わる事だし言い淀んでる場合ではない。龍耶が今苦しんでるのにわたしが此処で怖気付いてちゃダメなんだから。龍耶がわたしを救ってくれた様に今度はわたしが龍耶を救う番!!


「世界が滅亡した後に別の世界に転生した龍耶なの」


「えっ…」


「なんだと…」


「嘘でしょ……」


そうだよね。その反応になるよね。特に愛龍様とシオン様と華龍さんは。わたしは話を続けた


「その別世界の龍耶は自分の愚かさのせいで世界を滅亡へ導き…愛する人、祈織・フォン・グレイスを。その龍耶の世界のわたしを巻き込み心中させてしまった。と後悔してたの。自分達みたいな結末にならない様にとわたしにある方法で念話を送って警告として話してくれたの」


「そんなぁ…。りゅうが」


「その引き金(トリガー)となるのが蛇女…バイス様の娘、ベリンダ。あいつが龍耶の魔力を全解放しようとしてるの」


「やはりそうなのね。うちのバカ娘は全解放して擬態化魔法を使った龍耶が好きだから」


「擬態化魔法は理性すら消してしまう禁断の魔法。人ですらいられなくなる。私達みたいに完全なる聖霊魔族ではない龍耶には危険な魔法だ。聖霊魔族なら禁断ではないんだがな…彼奴は聖霊魔族と人間の子だ。よりによって魔力値が他の者よりも高い。その様な者が使ったのなら世界は完全に消滅する」


やっぱりそうなんだ。わたしの直感は間違ってなかったんだ。龍耶に擬態化魔法使わせない様にしないと…でも魔力全解放の条件ってなんなんだろ?っと考えてるとコールお母様がわたしの心を読んだのか話してくれた


「魔力全解放する条件としてその人の大切な人がある。龍耶で言うならば祈織だね。祈織を大切に思ってる龍耶は祈織が幸せじゃない世界🟰破壊してもいいに変換され魔力全解放への道が開かれるとなる」


「つまり…わたしの本当の気持ちを龍耶へ伝えればその条件は破棄されて魔力全解放し暴走もしなくなるという訳よね?コールお母様」


「そういう事になるわね。ただバイスの娘のベリンダは手強いのよね。祈織みたいに龍耶への愛が重いというか…」


最後コールお母様が何か言ってたけどそこは聞かなかった事にして…。てかあの蛇女よりわたしの方が龍耶への愛全然強いし!!そんな事より龍耶を探し出してどうにかして助けないと…!!絶対に魔力全解放させないし擬態化魔法なんか使わせないから!!!あの蛇女に龍耶は渡さないもんッッ!!!!


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『ごめんね祈織…。今回もあなたを救えなかった。あなたが悲しむ世界はこの世になんか要らない。全て破壊する…この身が滅びようとも』

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