第一部第3章 【恋とライバルと魔力と暴走】第十一話 白蛇の娘

グレイス帝国城下町


わたし、祈織・フォン・グレイスはグレイス帝国の城下町にわたしの愛する人・姫神龍耶と今後の戦いに備える為に防具や武器等を見に来ていた。まさかあんな事が起きるとは…。


「龍、これとかは?」


「これはリーチ的に隙ができるからダメね。それに魔法を発動する時に魔力を結構使うわね。正直効率が悪いかな」


「んー…龍は莫大な魔力を使う戦い方だもんね。莫大な魔力を使うってなると疲労感もやばいだろうし」


「そうなのよね…。魔力が高い分、消費も半端ないから」


「それならこちらはどうですの?」


わたしは龍耶と共に声がする方に振り向いた。何この女…。いきなり話しかけてきて

しかも龍耶の隣にいるし。何よりもわたしと龍耶のデートの邪魔しやがった。許さない


「ベリンダ…?」


「お久しぶりですわ。お姉様♡」


「えっ?龍耶の知り合い??」


「えぇ。従姉妹のベリンダよ」


「姫様、お初にかかりますわ。私、姫神バイスの娘で龍耶お姉様の従姉妹の姫神ベリンダと言いますの。ふふっ」(ニコッ)


「え、えぇ…。よろしくね」


ちょい待てい!はァァ!?龍耶の従姉妹!?

しかも何?この子めちゃくちゃ龍耶にベタベタくっついてるしなんなの!?マジで意味分かんないんだけど!?


「ところでお姉様?武器をお探しみたいですけどお戦いになるんですの??」


「えぇ。ちょっとした戦いをね」


「えぇ〜心配ですわぁ…」


「………。」ピキピキッ


従姉妹だからってくっつきすぎじゃないんですかァ!?距離近すぎだし本当になんなのよこの子!!ああああああああぁぁぁもうぉぉぉぉぉぉぉぉ


「……祈織?大丈夫??」(心配そうに覗き込む)


「はっ…えっ?あぁ…だいじょ…」


「お姉様〜私と武器お探ししましょうよ♡」(チラッ)


「……!?」


「私は……」


「それに姫様は具合悪そうですし♪」(ニヤッ)


「〜〜〜〜〜!!!!???」


「そうなの?祈織。そろそろ帰ろうか??」


違う!違うの龍耶!!原因はその子なのッ!!!その横取りしてくる性悪蛇女のせいなのーーーッ!!!!!


「姫様、お姉様もこう言ってますしそろそろお帰りになられては?お姉様は私にお任せくださいまし」


「…メッ」


「ん?祈織??「 」


「だめーーーッ!!!!いやだ!!!先に帰るなんて嫌っ!!!帰るなら龍耶と一緒に帰るッ!!!!」


「姫様…あなたって本当にワガママなんですのね。お姉様もあなたのワガママに嫌々なの分かってませんのね。これだから王室育ちは…」


「なによっ!急に現れてわたしと龍耶のデート邪魔したじゃない!!それに従姉妹だからって近すぎるのよっ!!この蛇女!!!」


「あら〜仮にも王家の姫様が低級民にそんな品のない言葉使ってよろしいんですの〜??」


「ネチネチうるさい!そもそもなんで龍耶なのよッ!!」


「そんなに聞きたいんですの?私がお姉様にくっついてる理由を」


「聞きたくないし聞かなくても分かるわよッ」


「わぁ〜姫様が怖いですわお姉様ぁ〜」(ぎゅっ)


「んなっ!!…………ふんっ!!!!」


「あっ…祈織!!あなた泣いて……」


わたしは悔しさのあまり走りながら去ってしまった。一筋の涙を流しながら…。背後から発した龍耶の声が聞こえたが何を言ってたのかは分からない。あの後、蛇女を振りほどいた龍耶はわたしを追いかけて心配してお城に来たらしい…のだが当のわたしは泣き疲れて眠ってしまった。こんなに悔しい思いをしたのは生まれて始めてだったからどうしていいのか分からない。龍耶…ごめんね。こんな弱いわたしで

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