第三話 謁見の間にて

「お父様待ってなさいっ!!私の龍がお父様に一泡吹かすんだからっ!!!」


姫様が私を引き連れて城へ向かった。私だけではないけど。

うん。向かったのは良い、良いのだが…あまりにも強引過ぎますよ。姫様も陛下に思う事があるのかめちゃくちゃ殺気立ってる。私も陛下嫌いだけどね?それと私が一泡吹かすんですか?まぁいいけど。そんな事思ってると私の母

が訊ねてきた


「ねえ、りゅう?お母さん達も来て良かったの?」


「まぁ人数は多い方がいいからね。それに…シオン母さんだけじゃなく愛龍母さんも一緒だから心強いし」


聖霊魔族の王である龍神様もとい愛龍(めりゅう)母さんも一緒なら尚更。人間の王と聖霊魔族の王の謁見とか…世界が大きく動くレベルですね。殺伐した空気が漂うんじゃないかな…想像しただけでもヤバい


「それで龍耶。あの話は本当なのか?彼奴がまだ人間同士で殺し合いをさせているというのは」


「うん。何も姫様の妃候補と名を付けて闘いをさせてるみたい」


「ふむ。如何せん。彼奴は人の血を見るのが大好きな悪趣味な性格してるからのぅ」


「悪趣味すぎるでしょ。もし私が姫様と結婚したらあの人が義父になるとか超嫌なんだけど」


「くっくく…龍耶、お前も言う様になったな。シオンそっくりだ」


「わ、私!そこまで言いませんよ!愛龍様💦」


「ふふっ…そう慌てるなシオンよ」ナデナデ


「もぅっ!//////」


あのー娘の前でイチャイチャしないでください。見てるこっちが恥ずかしいです。そんな2人を見ていたのか姫様が私の隣に来て見つめてきてた。いやあのね?これから陛下をぶちのめすに行くんですよ?そんな目で見られても困りますって


「龍…?」


「いや、これからカチコミに行くんですよね?」


「そうだけど?その前に…ね?」


「いやいや私と姫様””まだ””その様な関係ではありませんし…」


「””まだ””…か。脈はアリって事ですのね!俄然やる気出ましたわ!!行きますわよっ!!ほら早く早く!!龍神様達も!!」


「ちょっ!?姫様!!!」


「若いのぅ…カッカッカッ」


「あらあら〜♪」


えっ?私何口走った??それも姫様!!まだ作戦中ですって!!母さん達も何か言ってよもうーっ!!


そうこうしてる内に陛下がいる謁見の間に辿り着いた。私は緊張して震える手を扉に掛けようとしたその時…。


「お父様いらっしゃるんでしょ!!」バンッ


姫様が勢い良く扉を足で蹴って開けた。姫様、破天荒にも程がありますって


「祈織か。何用だ」


「お父様に言いたい事があって来たんですのよっ!わたしの妃候補を探すですって?しかも殺し合いでって何考えてますの!?」


「祈織よ。お前はまだ弱い。強き者に守ってもらわないと何もできない弱き者だ」


「弱いって…」


「そんな事なんてどうだっていいの!何故殺し合いをさせるのか聞いてますの!何故、人と人を殺し合わせるんですの!?おかしいですわッ!」


「黙れ。お前は私の娘である以前に私の装飾品でしかない」


「くっ…」


姫様は陛下に言いたい事言ったのは良いが陛下の圧がこちらにも伝わってくる。そんな姫様は悔しそうに下唇を噛みながら俯いていた。それが耐えられなかったのか私は陛下を睨みつけながら陛下に刃向かった。仕方なかったのだ…姫様の瞳に一筋の光が見えてしまったのだから


「…陛下」


「ん…貴様は」


「名を遅れました。私、聖霊魔族の王・龍神様…姫神愛龍の娘の姫神龍耶と申します。」


私は片膝をつき陛下に挨拶をした。正直陛下の圧がひしひしと伝わってきた。


「ほぅ…愛龍の娘とな。人間の女に恋をした愚かな聖霊魔族の王か」


「陛下。その言いか…」


私が言いかけた時私の隣に音も立てずに愛龍母さんが立っていた。私が言いかけたのは母である。威圧が凄く伝わって来るように…。こんな母を見たのは初めてである。正直怖気付くくらいにやばい


「コール陛下お久しぶりです。この度は無礼な態度をお詫び申し上げます。ですが、陛下にその様に思われていたとは心底哀しいですね」


「ふん。貴様は相変わらずだな。それで要件とはなんだ。まさか祈織の妃を決める血なまぐさい殺し合いはやめろと言いに来たとあるまい」


「ふふっ。そのまさかです。私もこの血なまぐさい殺し合いは好きではないのでな。この様な事が好きな人種…いや、魔族は私の配下に置いておく訳にはいかぬ」


えっ…?陛下って魔族だったの?しかも母の配下にいた魔族って…。この世界で一番偉いの愛龍母さんだったんだ


「ちょっ…龍?どういうこと??」


「私にも分からない…シオン母さんかグラス様に聞いたら分かるかも」


「お母様!シオン様!!どういうことですの?」


「シオン。ここは私がお話しますわ。」


「お願い致します。グラス様」


「えぇ。祈織、リュウちゃんよく聞いてね?」


「はい」


「わかりましたわ」


「陛下が魔族って知りましたよね?」


「はい。」


「今、龍神様が仰ってましたわ」


「ふむ。そして陛下は実は龍神様の配下だったと」


「そうですわ。それでどうしてお父様が龍神様の配下なのか知りたいんですの」


「それは人と聖霊魔族の戦いで国が滅びる寸前の事だったの。そして龍神様がご自身の右腕であるコール様を国王に選んだのが始まりなの。誓いとしてもう二度と人や聖霊魔族の血を流さないと…。そして龍神様はシオンと結婚し御隠居したのよ」


「そうだったんですか」


「それをお父様が裏切った…と」


「そういう事よ」


私は衝撃な事を聞き、母と陛下の関係を知り驚きを隠せなかった…しかも自分の母が実は凄い存在だったとか。普通に驚きを隠せない。そして謁見の間には聖霊魔族の王と魔族である陛下の殺気が漂っていた。正直この場から逃げたい気分だった

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