第二話 王妃と私
私は姫様の妃候補という名の血なまぐさい決闘に参加する為に城のとある地下にある決闘の間(コロシアム)に来ていた。うわぁ…。なんでこんな事に
「来たのは良いけど…決闘の間なだけあって血なまぐさいな」
実際にここで決闘を行い殺し合いがあったのは有名な話である。何も今の国王…コール・フォン・グレイスは人と人の殺し合いを楽しむという悪趣味な持ち主だ。その奥様であるグラス・フォン・グレイスはその旦那の悪趣味が相当お嫌いである。グラス様とは仲良く出来そうだけどコール様とは一度やり合うしか方法はない。因みに私はそのグラス様に気に入られている。何も私が幼少期に私を見たグラス様が是非祈織様の嫁にすると決めていたらしい。コール様は生産性がないので同性同士は認めないと一点張りで。
どうしても祈織様の妃にするのであれば決闘で決めれば良いとなった。いやそれで殺し合いはどうなんですかね
「はぁ…めんどくさ」
私が憂鬱そうにしてると誰かが私の背後から声を掛けてきた。この声は…。
「あら!リュウちゃんじゃない♪会いたかったわ♡」
「グラス様。お久しぶりです。ご機嫌麗しゅう」
「ふふっ♪相変わらずあなたも素敵ね♡」
「いいえ。私なんてただの低級民です。それで私に何かご用事で?」
「相変わらずクールね。戯れはこのぐらいにして…祈織の事なんだけれどね?リュウちゃんは祈織の事好き?」
「…好きか嫌いかで言うなら嫌いなのでしょうか。でもあの子があの陛下に振り回されるのは見てて嫌です。私がどうこう出来る話ではない事なのでそこがもどかしくて」
「ねえ、リュウちゃん。それって好きなんじゃないのかしら。心の底から嫌いならあの子の心配はしないでしょ?」
「そう…なのでしょうか?この感情は初めてなので」
「そう言えばあなた…あの龍神様のご息女でしたわね。龍神様も人の感情というものが分からなくて私によく聞いてきてたの。そんな龍神様が一人の女性に恋をした。それがあなたの母親よ」
「そうだったのですね。」
「えぇ。龍神様も女性だけど一人の人間の女性に恋をしてしまって凄く悩んでたのよ?」
「なぜそれを私に?」
「あなたには後悔して欲しくないのよ。あなただけの幸せを願ってね」
「もしかしてグラス様…」
「えぇ。私も龍神様に恋してたの。だってあの人素敵すぎるから」
「あの人らしいですね。でも昔っから人たらしだったんですねあのバカ親は。」
「リュウちゃんは親だろうと容赦ないわね。そこが気に入ったのかしらあの子」
「祈織様も物好きですよね」
「確かにそうかも♪」
「それで?私にどうしろと?」
「そ・れ・は♡」
なんか嫌な予感する…。こういう時の私の勘は当たるんですよね。
「陛下をぶちのめしなさい」
「はっ?いやグラス様。仮にも陛下ですよ?下手したら私、国外追放だけじゃ済まされません」
「大丈夫。それにあの人はあまりにも暴君すぎる…だからこそ誰かがあの人を懲らしめないとこの国は変わらないのよ」
「ですが…」
流石に私には荷が重すぎる。陛下をぶちのめすって…。
グラス様、実は陛下に激おこなんですか?コール様、天罰が下される時が来たようですね…。
「私がサポートしてあげるしあなたのご両親にも頼むわ」
「サポート…って!祈織様!?いつから居たんですか!?」
「お母様に呼ばれたから今来たところだけど?それにお父様をぶちのめすのなら私がサポートしてあなたと共に戦うわ」
「グラス様…あなたって方は」
「いえい♪」
「お母様がこっちにいるのなら心強いわよ!なにせお父様はお母様に弱いから!」
「はぁ…」
もしや…祈織様、グラス様の事めちゃくちゃ好きなのでは?母親嫌いな娘はいないですしね。
「という事でお父様にカチコミにいくわよっ!龍耶!」
「カチコミって…何処で覚えたんですかその言葉」
「どこだっていいじゃない。ほら!早くっ!」
私は祈織様に手を引かれるまま向かった。私一人で立ち向かおうとしてたのだが…。どうしてこうなった。グラス様と言い、祈織様と言い王族の女性は勝気なんですかね。これは先が思いやられる
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