龍の娘とワガママお姫様【りゅうひめ】

銀龍(ぎんりゅう)

第一部第1章【龍の娘と姫様】第一話 出逢い。そして...

私とある国のお姫様の出会いは必然だった。この出会いに私は運命と名付けた...。


『ちょっとあなた!そこどいて欲しいんだけど?』


私は声の主を見た。美しくも可愛い顔立ちの女の子である


「聞いてますの?」


「あーはい。」


私は返事をした。その姿が気に入らなかったのか彼女は私を見下す様に睨みつけながらこう告げた


「あなた、お名前は?」ギロッ


「私ですか?私は姫神龍耶(りゅうか)と申します」


「そう。わたしは...」


「祈織(いのり)・フォン・グレイス様ですよね?」


私は彼女の名前を口にした。その時彼女は一瞬驚いたのか私を貶してる様にでも私が名前を覚えてるのが嬉しいのかハキハキした声で...


「あなた、わたしの名前知ってるのね。そうよ!私はグレイス家長女の祈織・フォン・グレイスよ。低級民にしてはよくやるわね」


「お褒めに預かり光栄です」ニコッ


彼女は私を見下しながらも鼻高々と意気揚々としていた。可愛いと一瞬思ったがやはり私は彼女が嫌いだ。なんで嫌いだって?それは彼女は国一ワガママなお姫様だからだ。

国中で彼女は人気があるらしい。色々な人からアプローチされていたりデートのお誘いがあるみたいなんだけど何故か全て断っている。その理由は...


「あなた、私のところに来ない?というかそろそろ私のモノになりなさいな。名前は今日知ったけど前々からあなたの事が気になってたし私の嫁にふさわしくってよ?」


あーいつものやつですね。そう彼女は私に一目惚れしていて私にぞっこんである。何かにつけて私がいるところいるところに現れる。言わばストー...げふんげふん。


「確かに私は女性が好きですけど...」


「なに?わたしじゃ不満って言いたいの?こんなに好きなのに?」


「私にも選ぶ権利がですね...。」


「ふーん...。わたし以外に好きな人でもいるのね。わたしという者が居ながらも」


「いや私、祈織様の事別に好きでは...」


「嫌いなの!?」


「まぁそこはノーコメントで」


「ふんっ...いつかあなたを振り向かせるから覚悟なさい!」


そう言って彼女は去っていった。根は悪い子じゃないんだけどね?ただうん...私に執着が強すぎるというかね?私の何処が好きなのか全然分かんないや


場所は姫神家


「で?そのお姫様に会ったのね」


「あーうん。あの子、私を嫁にしたがっててね。私の何処が良いのか本当に分かんなくてさー...てか聞いてる?お姉ちゃん」


「んーきいてるよー」


私は家に帰って先程の事を姉に話した。聞いてきた姉本人は興味のない返事をした。いや明らかに興味ありましたよね?


「お姉ちゃんが聞いてきたのに」


「いやだって惚気られたから」


「はァァ!?」


「違うの?あんたもそのお姫様の事好きだと思ってたんだけど...?」


「す、好きじゃないし!」


「ふーん。そういう事にしとくわ」ニヤッ


「ぐぬぬ...」


ほんとこの姉は全く...。


「それと」


「次は...なに?」ギロッ


「りゅうちゃん怖いなぁー」


「用事がないなら部屋に戻る」


「まてまて。これは結構重大な話よ。今後のあんたの為にも」


「...仕方ないな。聞くだけ聞く」


「流石我が妹♪」


「早く話せバカ姉」


「はいはい。話しますよ」


「あんた、本当にあの姫様の事嫌い?」


「なんでその重大な話にあの姫様が出てくるのよ」


「あんた知らないのね。」


「なにを?」


「姫様の騎士様というか妃候補の話」


「ふーん...」


えっ...?あの姫様の妃候補の話?私、全然聞いてないんだけど...。てかあの姫様、私の事好きなんじゃないの??それと何か重要なの??まさか...親との確執があるとか?あの破天荒姫様にそんな事ある訳...でも気になるし。私は姉に問い質した


「それで?」


「あ、うん。なんかね、陛下がその妃候補のイベントを開催するらしいよ」


「イベントって...しかも愛娘の妃候補のやつでしょ?」


「で、何で対決するの?まさか決闘とかじゃないよね?」


「そのまさかよ」


うわぁ...。あの陛下何考えてるんだよ。陛下が言う決闘って言わば殺し合いですよね?殺し合って娘を奪えって趣味悪すぎ


「すごい顔だね。りゅうちゃん。こういうの嫌いだもんね。」


「うん。大嫌い。ましてや自分の子供の将来が掛かってるのにさ」


「まぁ確かにそうだよね」


「正直めんどくさいけどあの子が親に決められた人生に振り回されるのもなんか癪に障るからその妃候補に参加するわ。どうせ相手は王族目当ての女達だろうからさ」


「あらあら〜。やっぱりあの姫様の事好きなんじゃん」


「違うって!ただあの子の悲しい顔が見たくないだけっ!!////////」


「りゅうちゃん顔真っ赤だぞ☆」ヘヘッ


「う、うるさいバカ姉っ!/////////」


「はいはい♪」


ホントこの姉は...。はぁ〜

とにかく!あの子が変な事に巻き込まれるのがなんか嫌だし見たくない。あの子にはずっと笑顔で居てもらいたいから。私はこの後、決闘で思いも依らない出来事が起きるとは知る由もなかった...。あれは本当に今でも思い出すだけで体が震えますね。まさか私が...ね?

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